アバルト500のリヤブレーキロータ、いつも思う事があります。

作業中に気になる、コレって設計段階の間違い?というシーンが稀にあります。
今回は、アバルト500のリヤロータ交換の際に感じた事とその対策を。

と、その前に錆が酷いです。
原因は融雪材の影響によるものです。
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無塗装の金属部品はおろか、塗装済みの箇所までグングンと錆が進行しています。
その光景は、永年放置された旧車を連想させるほどです。

問題の箇所はココです。
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リヤメンバーに隠れて緩める事の出来ないボルトが存在します。
ここを外さなければブレーキキャリパのブラケットが外れません。
ブラケットが外れなければ、ディスクロータは外れません。

ハブキャリアを外してロータの交換を行うというのは非常に手間です。
アライメント数値にも変化が出る箇所な為、出来れば外したくありません。

今回は、前後の足回りの変更・アライメント作業・各部の防錆処理・リヤブレーキの整備が
作業内容に含まれますので、順序の組み立てが肝心です。

まずは各部の分解から始め、合わせて各部の清掃・防錆処理を行います。

ブレーキロータは交換です。
融雪材の影響により、錆の進行があまりに酷いです。
ディスクの内周・外周の錆がグングンと進行しています。
ロータの錆は、初期段階のものは走行すれば落ちますが、融雪材が付着し、駐車し、錆る。。。
の繰り返しで錆びる進行速度の方が勝ってしまった結果ともいえます。
特に冬時期の路面ではブレーキの制動も穏やかになりますので、性動力の弱いリヤ側は
パッドがディスクに強く当たる場面が少なくなりますからね。
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リヤのキャリパブラケットやバックプレート・ハブキャリアは、ダスト汚れと、パッドグリス汚れを落とします。
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細かい所もトレントの洗浄により、短時間で高いレベルの美しさを実現します。
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続いてはブレーキパーツの取り外された、サスペンション廻りも進行していきます。
溶接痕には錆が浮きやすい為、ワイヤグラインダを用いて大まかな錆取りを行います。
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ある程度の下地処理が出来たら、防錆塗料を吹き付けます。
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ここでは、リキモリ・アンダーボディコートを吹き付けます。
塗膜が厚く、クッション性も備える為、石跳ねなどによる外敵被害から塗装が剥がれるのを
防げます。

鈍く光る重厚な仕上がりになります。
マフラーパイプの錆も凄いですね。。。
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ハブキャリアやバックプレートも綺麗に整えます。
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今回は左右のリヤハブベアリングも交換しますが、そのまま組み付けるのではなく
新品ベアリングのグリス状態も点検し、グリスを追加注入しておきました。
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リキモリのラベルが目立つグリスガンですが、中身はオメガの「57」グリスです。
高価なグリスですが、今後の耐久性を重視です。
この車輌は、先日紹介したベアリング異音の車です。

リヤパッドと、ロータです。
新旧比較でも分かりますが、機能部品といえどもここまでの見た目の違いには驚きです。
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リヤブレーキパッドは自社ブランド SessA(セッサ)アバルト用を用います。
低ダスト・高耐久・ロータへの攻撃性が低いイチオシ商品です。

ハブベアリングの外周は、鋳鉄むき出しですので防錆を行います。
ここは、素材感重視で着色は行わずクリヤーペイント仕上です。
バックプレートも同様にクリヤーを塗り、保護します。
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ハブのロータとの接触面には、塗膜をのせたくないので、ここにはカッパースプレーを
塗布します。
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ウルトのCU800です。
当社の大量消費ケミカルの一つです。

リヤのキャリパを取り付けるのですが、今後の事を考えてボルトを変更しましょう。
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ヘックス頭のボルトを通常の6角ボルトに変更します。

こうする事で、工具の入らなかった原因を改善できます。
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正面から見ると良く分かりますが、ヘックス頭ではブラインドになり工具が入りません。

マフラーも、ロータもジンクペイントを施す事で防錆効果に期待したいです。
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開始直後の事を思うと、見違えるほどに綺麗になっています。
下回りの綺麗な車は、整備に望む者の気持ちさえも引き締めるから不思議な効果ですね。

今回の足回りパーツです。
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BILSTEIN B12に、SessAスフェリカルアッパー N1を組み合わせます。
車高調整以外の選択肢では、この組み合わせが乗り心地・接地感・異音発生のリスク低減
どれをとってもピカイチです。

リヤ側のダンパー&スプリング装着状態
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バンプストップラバーは純正を使用していますが、ローダウンに合わせて必要箇所をカットします。
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フロント側も進行し、アライメント調整を行います。
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ノーマルアッパーと、スフェリカルアッパーの違い
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フロントの作業前
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フロント廻りもしっかりと防錆処理を行います。
フロントロータ・パッドは今回は交換を行わず、洗浄・防錆処理を行いました。
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ビルシュタインの黄色いダンパーは、新品時は鮮やかなイエローが美しいのですが
案外錆ます。
なので、見た目の変化はありませんがここにもクリヤーペイントを施し、耐久性を向上させます。

スフェリカルを上から
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見た目・乗り味共に私達の望む仕上がりになりました。
遠方のお客様のお車ですが、私どもの施工した各部の状態が、1年間良い状態で
保つかどうかが非常に気になります。

次回の点検整備も是非ともお任せ下さい。

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