オイルに浸かったタイミングベルト
PSA 3気筒エンジンのメンテナンス
カクタス 1.2L 3気筒 NA エンジン(HM01)のタイミングベルト交換作業です。
インマニ外して、カムカバー外して、ようやく見えてくる全貌。
この構造でタイミングベルト式という、一癖を備えたエンジンです。
エンジンオイルにタイミングベルトが浸されている、常識破りの構造であります。
最前面に見えるのが、VVTプーリー。
可動範囲は広く35°の設計。エンジンの求める空気の量・混合気の体積バランスを負荷状況や回転数に応じてベストを保持する機構です。
そのプーリーを繋いでいるのがタイミングベルト。ご覧の通り、エンジンオイルが付着しています。
ゴムベルトとエンジンオイルの相性は一昔前なら良いはずがありませんでしたが、技術の進歩によりチェーンに勝るゴムが開発されたという事ですね。
とても耐久性の高いベルトですが、オイル管理はとても大切であると思っています。間違ったオイルの使用を続ける事で、ゴム質を悪化させるはず。
クランクとカムにSSTをセットし、それぞれの位置関係を把握します。
ここで思ったのは、チェーンドライブよりカムポジションのズレが生じていない事です。
全くと言って良いほど、ズレていません。凄いなゴムベルト!
ベルトの横幅を測定するためのゲージ。
ゲージと同寸=OK ゲージより少し細い=OK ゲージより少し太い=NG
上記の様な判定を行う為の専用ツールです。
本来は、オイルフィラーキャップを開けた所からゲージを入れ、分解前に使用します。
ベルトの張りを保持するテンショナは、ブロック側面のサイドカバーを開けた所に備わります。
チェーン交換を行なうのと同じ要領で組み替えを行います。
カムカバーとインマニを組み戻す前に、VVTソレノイドの交換を完了させます。スペースの都合上、その状態での交換がベストです。
思ったよりも傷みの少なかったエンジンマウントですが、10万キロの節目を考慮しこの際に交換しておきましょう。
初の作業でしたが、マニホールドとカムカバーがスムーズに外れるかどうかが、この作業の要点となりそうです。
今月には3気筒ターボのタイミングベルト交換を控えています。
今回のNAとは容量が異なりそうで、しっかりと熟知していきたいと思います。
Written by Hashimoto