ルノー・メガーヌ3 エステートGT180 クラッチより異音点検やタイミングベルト関連作業開始
ルノーメガーヌエステートが点検作業に加えてタイミングベルトの交換で入庫しました。
このメガーヌエステートはGT220の正規導入が始まる前に少数台限定で正規輸入された
180馬力バージョンの珍しいモデルです。
走行距離は5万キロを少し越えた程度ですので、タイミングベルトの交換をはじめとした
点検作業となる予定でしたが、お預かりの際の打ち合わせ時にお客様からのご相談事項がありました。
内容は、クラッチ操作に合わせて唸り音がする。という内容です。
この距離・年式に対して、まさか?と思いましたが、実際に確認を行うとクラッチ操作時に発する音はかなりの音量です。
クラッチレリーズベアリングの損傷、これですね。
あれ?と思った際にすぐに確認できるクラッチの判断基準をまとめた記事がありました。
不具合かな?と思われている方、ご参考にしてください。→ムルティプラリフレッシュ クラッチ編
今回のメガーヌは、この中の3番に当てはまります。
と、いうわけで原因追求の為にトランスミッションを取り外します。
サブフレームを外す必要がある為、フロントバンパーも外します。
最近はこの構造の車が多いです。
本題のレリーズベアリングはどんな感じでしょうか。
画像中央部に装着されている部品が、レリーズシリンダとベアリングを兼ねた一体構造の部品です。
手で空転させてみると、なぜここまで悪い?という位にベアリングの劣化が進行していました。
初期のベアリンググリスが少なかったのでしょうか。
気になったので、ベアリングを分解してみます。
グリス気が無いわけではありませんが、明らかに潤滑不足の気配を感じます。
ベアリングとしての役目を終えたゴロゴロ感で満載です。
新品に交換しますが、新品を疑って掛かる事にしました。
グリスの充填具合はいかがなものでしょうか。
白色の粘りっ気の高いグリスが入っていました。
グリスの量は、構造的に沢山入れるのは無理ですが少し少ない様にも思えます。
ベアリンググリスとして、信頼性の高いリキモリ製グリスに交換します。
バラして、グリスを拭きとって、詰め替えです。
耐水性能・耐荷重性能・耐温度性能などに優れたグリスですので、きっと長持ちしてくれるはず、との思いを込めて。
最近のルノー車は、このレリーズシリンダを外した奥側にトランスミッション・インプットシールが存在します。
他メーカの主流では、シリンダにシールも組まれているので、パーツオーダーの際には注意が必要です。
別パーツとして注文する必要があります。
さて、ついでですのでクラッチの状態も点検しておきましょう。
厳つく、強そうなクラッチカバーです。
流石は2リッターターボ、と納得な面構えです。
ここでまたひとつ問題が発生してしまいました。
そう。フライホイールにあの構造が使われていました。
デュアルマスフライホイールです。
デュアルマスフライホイールの点検を行うと、想像以上に悪い結果が見つかりました。
青のマーキング位置が、片手で、しかもかなりの軽さでガチャガチャと動いています。
デュアルマス構造には製品それぞれにフリープレイ(遊び)の基準値が設定されています。
メガーヌ3のフライホイールの基準値に照らし合わせると、遊びの最大値は角度で20°です。
遊び値限界まで動いてしまっています。
走行距離は5万キロ程度なのですがね。
純正部品の価格はなんと17万円位!
ちょっと作戦を考えます。
フレームが降り、整備性が良くなっているので今のうちにタイミングベルトを交換します。
外したベルトは縦筋状に細かい亀裂が確認できました。
タイミングベルトは早めの交換が正解ですね。
クラッチ・フライホイールについては続編にてご紹介します。