ブレーキテストローラを脱出できない!?


なんともペラペラにすり減ったクラッチディスクが出てきました。
どのくらいに減っていたかって言いますと、ブレーキテストのローラーから自力で脱出が出来ない程。
減り過ぎて、そのためのトラクション性能を確保できない状態でした。

取り外したクラッチディスクの厚みは4.7mm。

新たに組みつけるディスクの厚みは8mmです。


なんとその差は4mm!
これはとても大きな差です。
4mm減ると、滑らずに走らせるのはほぼ不可能でした。
今回の車輛はラテン車では無く、イギリス車のミニ1000です。
新車からお乗りの車で、初のクラッチ交換です。
既に35年が経過。

「気を付けないと滑るんだ」とは伺っていたものの、気を付けていても滑る!なんとも職人技を強いられるクラッチにタジタジしました。

晴れての交換を完了出来、一安心です。
地元にお住まいで、よく快走している様子を目にするクラシックミニ。
こんなクラッチなら、あの快走は出来ないはず。
復帰後はまた、元気に走る姿をお目にかかれることでしょう。

クラシックミニの特異なエンジン・ミッションレイアウトは、見慣れない方には「へ~」となるはず。
エンジンブロック下のオイルパンがミッションケースが、その横にはクラッチが、それぞれ配置されています。
なのでクラッチ交換の際に、ミッションを降ろす必要はありません。
フライホイールとクラッチの嵌め合い勘合を外すのに、苦労をする場合もありますが1000CCの場合は特殊プーラーの力のみで外す事が可能な事が多いです。

クラッチ及びフライホイールが外れた後には、クランクシールの交換を行います。
ここにも専用の工具を用います。

プライマリーギヤを引っ張り出しながら、クランクシールを引き抜く作業です。
センターの大きなスプラインは、クラッチディスクと接触箇所。ここでエンジンの回転力をミッションに伝達しています。

クラッチハウジング内は、長年かけて蓄積したクラッチダストがこびり付いています。
ディスク厚の4mm分のダストですね。

クラッチ操作系パーツの色々。

レリーズレバーの作用点は、金属摩耗が激しく進行しています。

クラッチとフライホイールの組付け。

クラッチ側のエンジンマウントは交換。
車も小さいですが、エンジンマウントもとても小さい物です。

小さな車体に大人4人が乗れる様に、特殊設計を含めて発明的な構造を実現したクラシックミニはこれまでに多くのファンを魅了してきました。
部品の流通に困る事の無い車ですが、近年では流通には困らない物の良し悪しに悩まされる事が多く、使う部品の吟味が大切になっています。

元気に走り回れる状態維持と、後世に継ぐために必要なメンテナンスが不可欠です。
Written by Hashimoto

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