水温管理のトラブルに一瞬悩んだ事例


ローバーミニの水温上昇について原因調査を行っています。

クーリングファンが作動せず、センサーの不具合かと思いきや、原因はそれとは異なりました。
サーモグラフィによる非接触温度計測を行っている個所は、ラジエタのアッパータンク。

クラシックミニのラジエタは、エンジンルームの側面に備わります。
そういう構造故に、冷却効率が悪いことは昔から有名な話。
アッパータンクの温度は100°越え。この際の水温計は水温が上がり過ぎのオーバーヒート一歩手前。

クーリングファンの作動を制御するファンセンサーは、ラジエタロワタンクに取り付けられています。
注目すべきは、アッパータンクの100°越えに対して、ロワタンクの温度は80°を下回った状態であります。

ファンセンサの温度が規定値以上にならなければ、ファンは作動せず。
対するアッパータンクは温度が上昇している。

こうなると、原因はここだ。
クーラント温度を管理する司令塔。サーモスタットが開いていないもしくは、開く温度が高い。


サーモグラフィによると、100°以上で開き始めるという状況でした。

サーモスタットの交換後は、アッパータンクの温度が落ち着き正常に復活。

ロワタンクの温度も適正化。
ファンセンサに正しい温度が伝わる事で、ファンの正常作動も可能になりました。

ファンセンサーがラジエタの下側に備わる車両は、昨今では皆無な仕様であり、水温適正管理に向かない形式であります。
車においてのトラブルと向き合う場合、その仕様や状況を把握する事が大切であると改めて感じた事例でした。
Written by Hashimoto

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