ジュリエッタQV DMFトラブル


アルファロメオ・ジュリエッタ1750 QV のクラッチ交換を進めています。
随分と前から、クラッチ操作に伴う違和感と、シフト変速時の違和感を感じていた車輌です。
振動も増え、気持ち良く走る事が出来なくなり、お預かりまでにお時間を要しましたがようやく作業の着手をさせて頂いています。

DMF(デュアルマス・フライホイール)に何らかのトラブルが起きている もしくは クラッチが異常に摩耗している。
これらの事が起きているのではないかと予想をし、トランスミッションを降ろします。

クラッチカバーを取り外し、フライホイールが前面に出て来ました。
可動域でのガタつきが酷く、ダンパーと言うよりは不規則に動く板と化した平面部である事が確認できました。

フライホイールをクランクに固定するボルトの頭に違和感を感じた為、接近して確認してみると。
「こんな事になるんだ!」という状況に。
それは、フライホイールの平面部が軸方向に動く事により、ボルトと接触し、ボルトの頭部に切削痕がついていました。

これでは、クラッチが切れ辛いという症状に納得できます。
◆クラッチペダルを踏む
◆レリーズシリンダがカバーを押す
◆カバーが作動し、クラッチが切れる
✖「フライホイールが動く事で、力を逃がす」←ここが余分です
◆クラッチの作動の流れは正常であるが力が逃げる事で、思ったよりもクラッチが切れない
◆その結果ボルトに干渉する
これらが、今回の一連の状況です。

原因の全てはDMFの劣化にありました。





新旧の比較で、色々と原因が見えてきました。
中心軸の割れ・それによる平面の定位置のズレ・ダンパー機構の緩さなどなど、ここまでの被害が出ているにも関わらず、そこまで大きな症状を現さないのが
DMFの怖いところだと思います。
まさに沈黙の機械部品です。

あらかじめ部品を用意しておいて良かったです。

クラッチの減り具合は、そこまでひどくはありませんでした。


1.2mmの消耗です。走行距離に対して、クラッチの扱いが上手だと思います。

新しいボルトと、頭の削られたボルト。
異なる形状のボルトにも見える位に、形が変化しています。

レリーズシリンダ・ベアリング は油圧漏れは起こしておらず、機能としては維持しています。
ベアリングは、グリスが枯渇状態になっていました。
今しか交換できない部位ですから、交換ですね。

新調したDMFで、気になっていた症状が一発解決してくれることに期待を込め、組付けを進めます。
Written by Hashimoto

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