なるほど!こういう事が起きるのか!
オイル漏れからの2次被害。
ウォーターホースの変質・ホース交換を行っているプジョー308です。
事の発端でもある「シリンダヘッドカバー」を交換するのですが、今回は気になっていた事を調べる為にスモークテスタによる点検を行いました。
作業前のエンジン始動中に、カムカバー後方よりエアーを吸う音が気になっていた事と、オイルフィラーキャップを開ける際にとても強い負圧が発生していた事。
これらが気になり、カムカバー内部のブローバイ還元機能に異常が発生しているのでは無いかと疑いをかけました。
点検の結果、スモークが湧き出てきてはいけない箇所から湧き出ることを確認。
これは新旧のカバーでの比較で判明した事です。
ターボエンジンのブローバイガス還元方式は、2系統。
アイドリング時及び、インテークマニホールド負圧制御時、この際は負圧を使ってカムカバーの後方よりインテークマニホールドに向かって強制吸引されています。
アクセル開度が増え、タービンが回ると共にインテークマニホールドは正圧となります。その際はカムカバー中央横側よりエアインテークパイプに向かってブローバイを放出します。
今回の症例は、カムカバー内部のバキューム制御能力の欠損が起きていたと想像できます。
エンジン後方から、笛の鳴くような音が聞こえていた箇所からもスモークがもくもくと流出しました。
本来は気密が保たれるべき部分ですが、内部機構のトラブルにより吸引力が上昇し、結果的に2次エアーを吸い始めた様です。
2次エアーを吸い込むと、空燃費の異常に繋がる為燃焼状態にも悪影響が出始めます。
取り外したスパークプラグには、オイル消費を物語る痕跡が電極を覆うように付着していました。
イリジウムプラグですので、綺麗な状態であればバツグンの着火性能を実現します。
反面、不純物が蓄積した場合は自己清掃能力が乏しい為にミスファイアを誘発する様になります。
現代のエンジンにイリジウムプラグが標準装着されているのは、昔のエンジンと比較すると燃焼状態が良くなり、焼け色を気にする必要がなくなったからです。
カムカバー内の異常負圧が、オイル消費の原因で有る事を願いながら、作業を進めます。
キャタライザとマニホールドを繋ぐガスケットは、3枚を合わせた構造ですがその中間部分が吹き抜けた状態になっていました。
オイル漏れからの2次被害修理を進める中で、複数の不具合箇所を改善する事ができました。
試運転を行ない、各部の状態復帰を確認したいと思います。
オイル消費の改善については、答えが出るまでに時間を要しますので、継続的に経過観察をしたいと思います。
Written by Hashimoto