進化を続けるサスペンション

常に改良を重ね、進化を続ける自社企画のアジャスタブルサスペンションキット。その最新版をアバルト595にセットアップさせて頂きました。

ウォルト・ディズニーの名言に「ディズニーランドは永遠に完成しない」がある事をご存知でしょうか。想像力がある限り成長を続ける、と続くのですが、これで完結.完成と思う事は成長を止める事だと自分なりに解釈しています。

アバルトのサスペンションにこれだけのめり込み、繰り返し仕様を変えている事の裏にはこの理論があり、また、それだけセッティングの難しい車であるという事ですね。

今回のセッティングは、シリーズ4以降のアバルトに自信を持ってお勧めする仕様です。これまでのセッティングと何が違うのか?

前後のスプリングとダンパーの減衰力に、変化をつけています。フロントスプリングレートは5キロ リヤスプリングレートは4キロを選択し、特性についても従来品とは異なる物を選びました。

スプリング選びは、減衰と同様に奥深く、同じレートでありながらも素材と巻き方により乗り味の印象は大きく変わる物です。



今回は、定番のスフェリカルアッパーを用いてのセッティングを行っています。
現在、企画中のシリーズ3までのアバルトの為のサスキットには、スフェリカルアッパーでは無く、ノーマルのラバーマウントによるセッティングを行います。



アバルトのサスセッティングで最も難しいのは、リヤをいかに上手く制御するのか。これに尽きます。
フロントのセッティングは自由度が高く、イメージ通りに仕立てる事が出来るのですが、そのイメージに合わせてリヤをいかに合わせ込むか?これが難しいのです。

音楽で言うならば、ボーカル・ギターがフロントセクションと置き換えた場合、リヤセクションはベース・ドラムのリズム隊です。
攻撃的な演出・優しい演出をフロントで表現し、そこをリヤがいかに支えるか?これが難しいのですよ。
前後のバランスの調和が整った時「なんとも気持ちの良い乗り味なの!?」この感動は、セッティングに力を注ぐ身でなければ分からない事です。
全ては、乗り手・ドライバーの為に時間を惜しまず、仕立てる努力をしています。

変更前のサスペンションテスト結果と、交換後の結果をご覧いただくと、乗り味の違いが目で見て理解できるようになります。


大きく垂れ下がったリヤサスの動きは、沈み込みを少なく制御する事に成功。
フロントは、リア側を上回る性能変化を実現。
これにより、苦手分野の無いサスペンションシステムを構築します。


目指すのは、過度な恰好だけのローダウンでは無く、走れる・動く足。
私見ですが、外観はノーマルが一番。そう思っています。
過度なキャンバーも不要。良いタイヤをきちんと使い、良いアシをしっかり動かす。
その軸となるのは、正しい現状把握と、確実な組み付けと、最終調整。
これが最重要です。
足周りは、個人レベルの技術で組み換えは可能ですが、正しく組む事がもっとも難しい事です。
素人は車をいじるな!という言葉がありますが、よく分かる話です。

パッと見は同じでも、やってることがまるで異なります。
真面目に車を仕上げたい方のご相談をお待ちしています。
Written by Hashimoto

 

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