美学と個性が共存した黄金時代のクルマ


自動車に搭載されるエンジンが、各メーカー固有の物であった時代は、エンジンルームを開けるとそこにも個性が演出されていました。
ランチアデルタ・インテグラーレのエンジンルームにも色濃く演出が醸されています。
[LANCIA TURBO 16 VALVE] ターボである事を主張するのはこの時代のステイタスですね。
(カーショップにも、筆記体のTurboというメッキのエンブレムがぶら下がっていたものです。ちなみにこの時代、私は運転免許は無く自転車が愛車でした。今は何処に行けば見れるのだろうか。)
エンジンパーツに金属素材が多用されている時代は、エンジンルームが華やかであり、走らせて楽しむ事の他に眺めて楽しむ事の出来る要素を併せ持っていました。

旧き良き時代の車を知る車好きは、車談義に花を咲かす際に「ちょっと、エンジンも見せてもらえませんか?」と必ず言葉を発するのは、そこに美学があるからですね。

結晶塗装という塗装手法で思い起こすのは、決まってハイグレードなスポーツカーのシリンダヘッドである事も特筆すべき点だと思っています。
コストと手間の掛かる事を、敢えて採用するカーメーカーの心意気に、自動車黄金時代を生き抜いたメーカーの意気込みを感じます。

自分はどんな車が好きか?と問われた時、固有の車を現すでは無く「メーカーの個性を感じられるクルマが好き」そんな回答を思い浮かべます。
エクステリア・エンジン・内装・香り・サウンド 様々な要素が唯一無二の個性を放つ車には魅かれます。
旧い車にはその要素が満載なのは、ご存じの通り。

では、現代の車輛にその要素を感じる車は何か。
「思い浮かぶ車はいくつかあれど、お仕事の都合上発言は控えます」これらにはその血統の引き継ぎを感じます。
流石にエンジン美学は引き継いでいませんが、乗ると楽しいエンジン性能は魅力的です。

「美しいカムカバーに、多連キャブレータとエキマニを一望出来る」そんな車が大好きです。

前置きが長くなりました。
点検整備でお預かりをさせて頂いている デルタ は、パワーウィンドの作動不良の点検と修理を行います。
原因は、レギュレータに備わるモーター本体でした。

向かって左は、動かなくなったOEMのレギュレタ。
向かって右は、これから取り付けるOEMのレギュレタ。

デザインが異なりますが、どちらもデルタ用。
向かって右は、オリジナルのデザインと配置を再現した製品です。
これまで取り付けていた物は、スライダにモーターが備わる物。ワイヤの取り回しに無理を感じます。

電極は交換するのですが、注意すべきは2本の端子それぞれに プラス電源 が供給されている事です。
スイッチ操作により、アース回路にいずれかが繋がり、上げ・下げを決定します。
絶縁処理はとても重要な個所ですね。

 

2Pコネクタを使って接続します。

組み換え後は、配線が擦れない様に適所に固定し完了です。


お客様自身がご用意してくださった、内装の固定ピン。
「トリム外すなら要るよね?」と言って、袋に入ったクリップを車内に置いて頂けました。
この様なパーツを常にストックされているお客様でして、デルタ愛を至る所から感じます。
当社のお客様の中で、最もデルタのパーツ情報に強い方だと思っています。

Written by Hashimoto

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