工場通信

アバルト695
オリジナルサスペンションをセットアップ

アバルト695にお乗りのお客様より、オリジナルサスペンションの組付けをご依頼頂きました。
車高の仕上がり目標は「フロント10mm・リヤ15mm ほどのローダウン寸法に抑えて行きましょう」と打ち合わせををさせて頂いています。
これまでに多くの車を通じてのクルマ遊びをご経験されてきたお客様です。
過去にアバルトにお乗りであった事もあり、再びアバルトを購入されました。

車高を下げすぎるのはNGというお考えをお持ちでして、過去の経験からそういう結論に至っているのであろうと察しています。

オリジナルの車高がそこまで腰高では無いのがアバルトのセッティング。バランス重視で仕上げて行きたいと思います。

使用するのは、当社のオリジナル製品。
進化し続けるサスペンションキットです。
自社企画製品の為、細かな仕様変更のオーダーが可能である事も魅力のひとつ。
この製品の受注を頂いた際は、仕込み作業が必要でして自社企画製作物をそれぞれ用意し、オーダーに合わせて組み立てる必要があります。

前後共に、スプリングのスムーズな作動を狙い、スラストベアリングを組み込みます。
こちらは、フロント用。
ベアリングを仕込むためのアッパーシートはアルミ削り出しの専用設計品。
そこに汎用のベアリングを組み合わせています。

リヤ側は、既製品のスラストベアリングを用いるので、それに合わせたスプリングシートを専用設計で作成しています。
既製品のベアリングは、一度シェルケースを開けてグリスの引き直しを行っています。
初期設定のグリス量では、耐久性に劣る気がする。というのが理由です。

仕込み作業を終え、サスペンションパーツのコンプリートが完成しました。
ちなみに、仕込み作業は時間を要すので3～4台分をまとめて行うと1時間以上かかっていたりします。

これより、組替え作業を進めます。
事前に測定した BOSCH SDL テストによる路面粘着率のグラフからは、アバルトのノーマルらしいカーブラインを描いています。
リヤサスペンションの沈み込み。これがアバルト特有の安定感の薄さを物語るといっても過言ではありません。
ショートホイールベース・大きなホイール・左右が繋がり重たいリヤサス構造。うまく制御させる事が難しいクルマです。

苦手分野を克服し、安定感と機敏な動きを目指します。
Written by Hashimoto