これはめっちゃ調子が良くなる!
乗らずとも伝わる調子の良し悪し!


DS3は初回メンテナンスでのお預かりをさせて頂いています。
10万キロを目前に迎え、基本整備から予防整備と不具合改善を織り交ぜて作業を進めています。
私が担当するのは、エンジン関連・カムトレインの整備。

タイミングチェーンの交換と、カムシャフトの適正化を行います。

カムカバーを捲り、先ずは基本点検としてチェーンの交換前にカムタイミングの点検を行います。
これを施工するかしないかは、現状を知るうえではとても重要な項目と言えます。

なんとなく走りがタルい、出力が出ていないなどの原因の鍵を握る可能性がありますからね。
点検結果はいかに!?

はい。とてもズレていました。過去最高?という程にズレています。
SSTをセットすると、噛みあう気配はゼロでした。

ここまでくれば、デジタル角度計をセットするまでも無いですね。
ここまでのズレは、チェーンが伸びたからという一言では片付けられませんね。
この場合、インテークバルブがクランクの位置に対して遅く開く様になります。
吸気の効率は悪くなり、圧縮効率も燃焼効率も悪くなります。
オーバーラップ角度も適正では無くなる為に、4サイクルの工程すべてに悪影響が出てきます。
それらが影響し、出力は出ません。

この感じが正解ですね。

取り外したチェーンパッドとチェーン。
黒ずんだ樹脂に変色し、樹脂劣化により一部は割れています。

新旧それぞれのチェーンを、均等に引っ張りました。
茶褐色のチェーンには、弛みが生じています。
これがチェーンの伸びを意味します。

チェーンパッド3種・テンショナ・チェーンを組み付けていきます。

樹脂の色の差に驚きます。新品は乳白色をしています。

デジタルアングルゲージを、エンジン水平部に置きキャリブレーションを行います。
ゼロにセットするという意味ですね。

そのまま、カムシャフトのチェックエリアにゲージを置きます。
この状態がベストという解釈になる様に設計されているエンジンです。

組み換えの際はエンジンマウントを取り外しています。


とても酷いという状態ではありませんが、交換する事でエンジン振動が減少します。

今回場合、マウント交換による振動抑制よりも、カムタイミングの適正化による、エンジン振動の低減の方が勝るはずです。
過去に経験済みですがこの様な事例もあります。
「エンジン振動がおおきな~マウント不良かな?まずはカムタイミングの適正化を!適正化後はマウント交換を不要に感じる様になった」
その位に、大きく影響する整備要素なのですね。

今回のDS3は、調子の取戻し率・費用対効果が相当に大きくなりそうです。
Written by Hashimoto

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