後ろより発する「キュッX2」異音の原因はなんだ?
走行中の小刻みな揺れに伴い「キュッキュッ」と後ろ側より異音を発するアバルト。
ご相談を受けた当初は発生頻度が低く、症状が出たり・出なかったりと不安定な状況の為に特定できず。
経過時間と共に、頻度が上昇し発生源を特定する事ができました。
異音がでていたのは、リヤセクションの構造物「トーションビーム」からでありました。
トーションビームを支える唯一のマウント、そのラバーブッシュから発しています。
異音の特定は、難しいもの。今回の様な音の場合はまず第一にリヤショックアブソーバを疑います。
前回の点検の際には、リヤショックアブソーバの左右装着位置を入れ替えて確認したものです。
トーションビームマウントの交換のために、アッセンブリを取り外します。
音の出ていた左側のビームマウント。
前回はこの部分にグリスを詰め込む事で音が消える事を確認しました。
トーションビームマントは、セット角を持つブッシュの為に迂闊に抜き取ると組み付け時に正しいセット角を見失います。
抜き取る前にマーキングを施す必要あり。
抜き取ったブッシュは、樹脂カラーが剥離していました。
これが異音の原因であると特定出来て安心しました。
圧入を行い、90%までを組み付け。
この後、治具のセット方法を変更し100%の入れ込みまで圧入します。
トーションビームマントの脱着は、アライメント値の大きな変化を伴うため、組み付け後は4輪アライメントの調整は必須です。
スラストアングルというセット角に変化が出る為、結果的に左右のリヤ・トーの値に左右差が出ます。
そのまま走ると、まっすぐ走らない・左右のコーナリング性能の特性に差が出る・タイヤの編摩耗が起きる といったアライメント値の不一致による悪影響が出てしまいます。
組み換え後は、リヤの異音が消え、ブッシュのリファインによるリヤ剛性感の違いを感じ取る事が出来ました。
Written by Hashimoto