1.6THP搭載車の皆様、タイミングベルト交換は不要ですが、ココのチェックは必要ですよ
タイミングベルトでは無く、チェーン式だからメンテナンスフリーなんだよね~。
とお考えの方、実はそうではないのですよ。
タイミングチェーン式であっても、メンテナンスは必要です。
なぜなら、チェーン=切れない(よほどの事が無ければ)
でも、チェーン=伸びる(通常の使用過程において)からです。
そして、ベルト駆動式よりも、バルブタイミングのズレ幅が大きいのが最大の難点です。
バルブタイミング=エンジン性能の決め手 とも言える重要要素ですから、侮れない項目なのです。
実際に、例えばベルト駆動式エンジンのタイミングベルトの調整値がベルトのコブ1つ分ずれていると
驚くくらいに遅いエンジンとなってしまいます。
今回、私達が提案したい内容はチェーン駆動式エンジン搭載車のタイミングチェーンのメンテナンスです。
チェーン周りの状態にもよりますが、比較的ローコストにエンジンフィーリングを新車時の状態に戻す事が可能です。
今回は、1.6THPでの作業をご紹介しましょう。
バルブタイミングを点検する、と言ってもいきなりカムカバーを開けてチェックするわけではないのです。
テスターを使用して、その作業の必要性があるのかどうか?をまずはチェックします。
ですから、ここでの診断で正常と判断できる場合、タイミング調整作業はひとまず不要という事になります。
事前に必要性があるのか無いのか?が分かるというのはお客様にとっても安心なポイントですよね。
まず始めに、調整の必要と判断できるテストデータをご覧頂きます。
赤枠で囲った箇所がチェックポイントです。
テスタに備わる機能により、正常値に対して、測定車輌が外れているのかどうか?を確認する事ができます。
そして、調整の不要なデータもご覧下さい。
先程の数値とは異なり、基準値内に納まっています。
正常ですから、調整作業は不要です。
調整が必要と判断された場合の作業風景も見ていきましょう。
特殊工具を多用しての作業となります。
ターボ配管と、カムカバー廻りを分解し、カムシャフトが見える状態にします。
ピストン位置を正確に検出するため、プラグホールにポジションニングツールをセットし、中立位置を出します。
インテーク・エキゾースト側それぞれに、カムシャフトの位置確認ツールをセットし、アングルテスタ・直定規も
セットします。
ピストン中立位置に対して、カムシャフトの位置決めツールが装着出来ない場合は、タイミングのズレを意味します。
アングルテスターの役割は、エンジン上面切削部を使用し、水平度ゼロ補正を行い、そのゼロに対しての
カムシャフト側面の切削端面との角度比較を行います。
アングルテスタを用いる事で、それぞれのカムシャトの位置関係が成立した後の、ピストン位置に対してのカムシャフト角度
を正確に測定・調整する事が可能です。
メーカー基準値を参考に、測定・調整を繰り返しながらベストな位置になるようにそれぞれの調整を繰り返します。
測定前に、チェーンテンショナを取り外し、ダミーテンショナをセットしています。
この際に、現在装着中のテンショナを点検し、必要であれば後に交換をします。
テンショナの良否判定は、外観上で判断できる箇所があり、対策前の物であればこの機会に交換すると良いです。
不具合が発生した場合の症状としては、冷間エンジン始動時にディーゼルエンジンのような「ガラガラ」音を発します。
1分間程で鳴り止む音ですが、気持ちの良いものではありませんからね。
このように、テスタと、特殊ツール、を用いて点検・調整する事でエンジンのフィーリングが蘇る作業です。
当社に入庫する割合も相当な数を占めてきた1.6THP搭載の兄弟車を永く、良い状態で乗るためには
今後多くの車で行う事になりそうな作業といえるでしょう。
点検・車検・一般整備で入庫の際に、こちらからアドバイスを含めてご案内させて頂きます。