味付けの変更で大満足の結果をご提供


RCZのお客様よりご相談を頂いた件について、作業を進めています。
案件は「乗り心地の機能改善」
ビルシュタインのB14を装着済みのお車でして「好みの車高(低めにセット)にすると乗り心地が悪化する」という件について打開策を以前に実施済み。

乗り心地が悪い理由が、どこに当てはまるのか。
1.ダンパーストロークの問題なのか
2.ダンパー特性の問題なのか
3.スプリングがハイレートなのか線間密着なのか
一口に悪い乗り心地と言ってもその原因は様々。
難しいのは既製品の設計を探る事です。

前回までに確認済みの打開策は、車高を上げれば乗り心地が良い方向に向かうという点でした。
つまり、1.のダンパーストロークの問題でありました。

ダンパーストロークに問題がある場合、ストローク確保が必要になるのですがどうすればそれを実現可能かを探る必要があります。
先ずは、分解前の各部の寸法測定を行いました。
ダンパーの可動量を測るにはこれが一番!タイラップ巻いて、設置して何ミリ動くか?です。

同様の測定で、走行後にもストローク量を確認します。

分かったのは、ダンパー伸び切り~1Gまでの間に随分とストロークを使い切ってしまっている事。
想像はしていましたが、想像以上です。
後に控えるスプリングレートの測定結果次第でレート変更も視野に入れます。

ストラットが裸になった状態で、ダンパーをフルストロークさせた際の寸法を確認後に、シェルケースからダンパーの構造物を取り外します。

ダンパーにはとても柔らかくて長いバンプストップラバーが装着されている事も確認。
この時点で分かったのは、1Gの際にはバンプタッチは起きていませんが、軽く走行するだけで常時バンプラバーに当たっているという事。
その度が過ぎると、最も嫌な乗り味につながる「底付き」として現れます。
なんとしてもストローク量を増やし、無駄な動きも抑制したいです。

何度も激しくバンプタッチしている為ラバーの割れている個所もありました。

標準装備のスプリングレートを測定し、荷重計算を基に使用するスプリングを決定します。
この時気を付けるのは、適当に選ぶのではなく、現在のダンパーに見合ったものを選択する事。
むやみにレートを上げては、ダンパー性能が負けます。乗り味も硬くなります。

アイバッハ・ERSスプリングを選択。線径が細く一見すると柔らかいスプリングですが冷間成形が特徴の品質の安定したスプリングです。
ストロークを確保しやすく、レートが正しい事がウリです。



裏ワザによるダンパーストローク確保により30mm以上のストローク確保も実現し、イメージ通りの手直しを完了。

結果的に20mm近く車高を下げながらも、乗り心地はこれまでで最も良い結果を実現しました。
お客様からも大満足をして頂け、施工側としても満足の結果です。

足回りは難しく、一発でセッティングを決める事が難しい分野の話です。


当社では、色々な手段と提案でその方に合うセッティングと、製品のご提案をさせて頂いています。

良いものを付けるだけでは結果が出ないのが、最も難しい事です。
Written by Hashimoto

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