電気のいたずら「熱害」をかしこく対処
パンダ4X4フルメンテナンスの終盤


いよいよ作業も終盤となるのは、長い間のお預かりをさせて頂いている フィアット・パンダ4X4 です。
テールランプの作動不良があり、ブレーキを踏みながらウィンカーを操作すると「カチカチカチ」の周期が早いいわゆるハイフラ状態に。

原因はアース不良による、電気の流れの滞りです。
電気的なトラブルの中でもアース不良というのは非常に厄介ですが、今回の様に目に見えるトラブルは解明が楽に行えて、なおかつ勉強にもなります。
冒頭画像は、テールランプ基盤をサーモグラフィで映し出したものです。

測定風景はこんな感じですね。

不具合を感じる際の点灯条件を再現し、その時に基盤のどの位置が温度に異常を発するのかを確認中。
アースの不具合が起きている場合は、該当部分が発熱します。
「電気の流れが悪い場所は発熱する。」
これはとても大切な事でして、これに通ずる事をエンジンルーム側で行う予防整備がステージ1メンテナンスです。

映し出していた基盤自体は何ら不具合を現さず、いたってフツーの印象です。

不具合が起きているのは、その裏側の電極コネクター部分。
5つの端子がテールランプ基盤に入力していて、その中央がアース回路となります。
電極接点は、通電時にある程度の熱を帯びるものですが、やはり異常なまでの発熱はNGとなります。
電極接点が年数経過で劣化し、抵抗値が増えると発熱温度が上昇し、その結果が冒頭の異常温度の100度越えへと繋がりました。
触ると火傷をする温度です。。

こういう箇所のトラブルは、端子を交換するのではなくアース回路をバイパスし、滞りを解消させるのが得策です。

アース基盤に配線をハンダ付けし、裏側に回した配線をアース回路に繋ぎ合わせます。

対策後のサーモグラフィによる温度測定では、適正な作動温度に変化する事が確認できました。

トラブル探求には、状況に合わせて適したツールが色々と存在します。
サーモグラフィによる温度変化は、現代のツール。アナログツールであれば「BOSCH VAメーター」が最も理に適ったツールだと思います。
色々な設備を使いこなすと言うにはまだまだほど遠いですが、様々なツールを色々なシーンにおいて使用する事を心掛けています。
Written by Hashimoto

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