プジョー207のバルブシールを車上で交換
初の試みの作業


走行距離は17万キロを越えたあたり。プジョー207の、バルブステムシール交換をシリンダヘッド搭載状態で施工しました。

大切に乗られいるお車ですが、このところは「エンジンオイル消費」に悩まされていました。
エンジンオイルの消費は様々な原因が考えられます。
シリンダブロックからオイルが燃焼室に混入し、燃えてしまう症状の場合はオイル上がり。
シリンダヘッドからオイルが燃焼室に混入し、燃えてしまう症状の場合はオイル下がり。
それぞれを掘り下げた原因には種類がありますが、大きく分けるとこのように区別できます。

オイルの消費が発生し始めた場合、何キロでどのくらいのオイルが減るのか?を調べる事が必要です。
1000キロで1リッターのオイルを補充する、と言う具合にデータ採取を行いましょう。

オイル消費が始まり、オイルレベルが下がれば下がるほど、オイル質が低下し、更に消費が進みます。

今回は、第一段階の修理として、オイル下がりの原因を拭う事を優先し、修理を行いました。
冒頭画像は、シリンダにエアー充填する装備を作成し、テスト作動しているところです。
ステムシールの交換時は、シリンダ内に圧縮空気を送り込み、風圧でバルブ位置を保持する必要があります。

エアレギュレータを取付け、送り込むエアー量を調整します。

コンプレッションロステスタを使用すれば良いのですが、あいにく貸出し中という事もあり、制作意欲が刺激されました。
自作ツールにより、シリンダ内への圧縮空気送付には成功しましたので、これから分解を開始します。

インテーク・エキゾースト両方のカムシャフトを取り外します。
初めて使う工具です。なかなかややこしい構造に驚きました。

画像は、先ず取り外しの必要になるエキゾーストカムシャフト。
こちらは簡単に取り外せます。

試行錯誤で取り外したので、画像はありません。。
インテークカム及び、エキセントリックシャフト一式を取り外しました。

その部品がコチラ。
メインカム・サブカム。そんな位置付けです。
バルブリフト制御を行っているエンジンですので、エキセントリックシャフトの位置によりバルブリフトを制御しています。
ややこしい構造です。

この後からステムシール交換に移ります。
専用口語をセットし、バルブスプリングを圧縮~バルブコッタの抜き取り、スプリングとリテーナを外し、シール交換を行います。

こんな具合に、力を掛けてスプリングを圧縮。

分かり辛いですね。コッターを外します。


この小さな部品がコッターです。外す際に、オイルリターンホールに落とさない配慮は超重要です。

ステムシールは、この部分に装着されています。
バルブステムの先は、燃焼室に繋がっています。
つまり、シールが悪くなると、上部に溜まったオイルが燃焼室に落ちて、結果的に燃えてしまうという悪循環です。

16個のステムシールを交換し、この後はタイミングチェーンとテンショナ及び周辺の消耗品を交換しながら組み付けを進めます。

初の試みの作業でしたが、構造把握と要領把握が整ました。
週いちで施工したいと思う作業ではありませんが、大切に乗り続けたい方にご提供する整備として、ご提供しようと思います。

Written by Hashimoto

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