フィアット500ツインエアー 足回りやクラッチ・デュアロジックなどなど
ツインエアーエンジン搭載のフィアット500デビューしたのは、つい先日?と思っていましたが、
既にこれだけのボリューム満点な作業を行いました。
今回の施工内容はこの様な内容です。
①デュアロジック作動不良(不具合初期症状)の診断
②診断結果からの、デュアロジックアクチュエータ本体の交換
③クラッチ機構本体の交換(クラッチ・オーバーホール作業)
④サスペンション・バージョンアップ作業(スフェリカルアッパーC-2の組み付け)
⑤スフェリカルアッパーC-2対応用のショックアブソーバ加工
⑥4輪トータルアライメント測定・調整
⑦エンジンマウント関係全数交換
⑧エンジン冷却系等予防整備
と、多岐に渡るボリューム満点な内容となりました。
順不同となりますが、作業の流れをお届けします。
各部の分解を始める前に、いつものアッパーマウントのガタガタ症状進行具合チェックです。
現在装着中の足回りは、SessAオリジナルセッティング車高調整キットです。
ツインエアーですが、当車輌にはABARTH用が装着済みです。
地面から浮いたタイヤを上下に揺すると、やはり大きな遊びが発生しています。
ここが動く、という事がこのところ気になって仕方ない私達です。
各部の分解を進めていきます。
分解点数は多いです。フィアット500の場合、トランスミッションの脱着にはフロントバンパーの取り外しも必要となります。
サブフレームに対して、の補強バーがバンパーを外さなければ取り外せない為にここまでの分解が必要となります。
グングンと分解進行中です。
色々と外す物がありますね。
部品を外す、という事は外したついでに状態判断を行い、判断の結果交換する事も可能です。
悪い箇所をその都度交換するよりも、圧倒的にコストパフォーマンスには優れます。
以前に装着したリジカラ、しっかりと役目を果たしています。
リジカラは、対装着物に対して馴染む事で効果を発揮します。
場合によっては、変形により大きく形を変え、再使用が不可能な場合もありますが、今回は使用できる範囲の変形です。
トランスミッションがようやく降りました。
最近の車は、エンジンルーム上部からユニットを吊り上げておく事が出来ない個体が多く、その様な場合は
下側からつっかえ棒で支えて、エンジンの角度を調整します。
つっかえ棒が無い場合、エンジンが落ちます。。
取り外したトランスミッションは、当然ながらに汚れています。
そのまま装着するのは気持ち悪いので、しっかりと高圧洗浄により掃除します。
各部の分解を行う事で、現状は不具合が無くとも、今しか出来ない的な箇所は幾つかあります。
クランクシャフトのオイルシールの予防交換は、この機会を逃すと不可能ですよね。
エンジン冷却系等の、重要物、アルミ・サーモスタット・ユニオンは上からの交換よりも下からの交換がラクです。
ここのホースバンドは、いわゆる締め殺しバンドです。
ゴムの経年劣化により、締め付け力が低下した場合はここから水が滲むことが予想できます。
なので、ラクなうちに交換したいですね。
今回の交換部品の数々。
かなりの物量がずっしりとした重さを体感できます。
クラッチフォークレバーです。
たまにこのレバー溶接部にクラックが入る個体もある様で、そうなるとクラッチが切れなくなります。
フライホイールの清掃や、クラッチディスク・カバーの交換・組み付けを行い、順調に作業が進行しています。
年式の新しい車輌は、こういった重整備において、途中の壁に衝突する事が少なく、安心して進行できますね。
90年代頃の車輌の場合、分解の進行に合わせて追加項目が増えて大変でしたから。
デュアロジック乗りの鬼門的存在でもある、システムの要「アクチュエータ」です。
この部分に関しては、恐れながら乗っているユーザー様も多いと思います。
トラブルのケースは様々で、千差万別な処置が必要です。
本体の交換が全てにおいて必要という事はありませんが、特定のエラーが入力されている場合、
残念ながら交換が必要なケースが多いです。
メーカー側も、戦略的な金額設定を行っていますので、この先もまだまだ乗る!
という方には間違いなくアセンブリー交換がお薦めです。
サブフレーム回りは走行による汚れを落とし、防錆・美化の意味も込めて美しく仕上ます。
黒光りを放っている部分がクロスメンバーです。
また汚れるのは承知ですが、美しく仕上がった下回りはやはり気持ちの良いものです。
マウント類も交換です。
今回の作業で気になったのは、エンジンのメインマウントの劣化の著しさです。
すごいです。
新品は、手による力を与えても動かないのですが。。。
外したほうは、ぐにゃぐにゃです。
しかも良く見ると、繋がっていない箇所もあります。
ツインエアーエンジンは、正常な状態といえども、通常のエンジンよりも振動が多い為、それをいかに車体へ
伝えない様にするか?はエンジンマウントの性能に委ねられているといっても過言ではありません。
その故、マウントの振動吸収の容量を上げる必要がありますが、反面劣化が進行すると一気にヘタるようです。
サスペンションについてもバージョンアップをしながら組み付けます。
まだ正式発表を終えていませんが、大好評のスフェリカルアッパーのスポーティバージョンをセットします。
これについての詳細は。。。そろそろご案内できると思います。
焦らしていますが、ちょとした理由があるのです。
製品に問題があるわけではありませんよ。
こちらのアッパーの特徴は、キャンバー角・キャスター角が共においしい方向へ1度ずつ増加できます。
そうすると、ビル足に合わせた場合は街乗りが主の方にはキャンバー角が増えすぎる為、キャスター増加のみに
的を絞り、キャンバー角はストラット下部で補正を行います。
組み付けた直後のキャンバーはこんな感じになりました。
ちょっと倒れすぎですね。
長距離ドライブの多いお客様ですので、過度のマイナスキャンバーはタイヤ偏磨耗につながります。
装着状態ではこのように。
ストラットセンター軸をオフセットさせる事により、ノーマルタイプでは実現不可能なセット位置に導きます。
各部の組み付けを終えたら、テスタによるデュアロジックシステムの初期設定を行います。
この設定なしではまともに動きません。
コントロールユニットが、日々変化するクラッチやトランスミッション内部の数値をモニタリングし、補正を行っている為
全ての部品を新調した後であっても、これまでの補正値で動かそうとします。
そうすると、思うようにクラッチが切れない、や、変速ショックが多いなどといった症状が出てしまいます。
ビシッと補正を行う必要があるのですね。
最近の車は、人間の技術だけでなく、テスタの力無くしては完成しないのですね。
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