工場通信

バルブタイミングの狂いがエグイ件
DS3 スポーツシック チェックランプと不調

不具合の修理中なのは、シトロエンDS3スポーツシックです。
エンジンの吹き上がりに異常を感じる事と、チェックランプの点灯について調べていたところ、ある程度の憶測がつきました。

電気的な不具合と言うよりは、機械的に何か起きている可能性が高いです。
メカニカルトラブルを確認すべく、カムシャフトカバーを開けて確認したのが冒頭画像です。

ピストンの位置を正しく合わせて、その際のカムシャフト角度を確認します。
すると驚きの角度にカムシャッフトが向いていました。
カムシャフトロックツールは、本来は水平方向に取り付ける事が出来ます。
ところが、斜め上を向いてしまうという状況にびっくりです。

状況に驚いて、本来はエキゾーストカムにセットするSSTをインテーク側にセットしていた事に後で気付きます。

ピストンとバルブが干渉していなくて一安心です。

この状況に陥った原因も明らかになりました。
タイミングチェーンガイドと言うか、パッドと言うか、チェーンの張りを保つための樹脂パーツが本来備わるはずの場所に存在していません。

その為、それぞれのプーリー間のチェーンは張りを失い、タラタラに緩んだ状態にありました。

これではカムタイミングが狂い、出力が出ず、チェックランプも点灯する事に納得です。

チェーンに伸びが無く、その他箇所に問題が無い場合は、バルブタイミングの補正とテンショナ交換で完了するのですが今回はそういうわけにはいきません。
チェーンをはじめとし、チェーンガイドやテンショナ・VVTソレノイド・各ボルト関連・シールガスケット類の全てを交換します。

プラグホールに取り付けているのは、ピストン位置検出用のSSTです。
その上側にかぶさるようにアルミの部品を取り付けています。
こちらは自社製のクランクロックを行う為のツールです。

各部の組付けを進めて行きます。

最終的に、バルブタイミングを微調整で行けば完了！
おかしな方向を向いていたSSTも、正規の位置を取り戻しました。

あとは、分解箇所の組戻しを行い、テスターチェックとリセットの施工を完了させ、試運転を行います。
おそらくとても調子が良くなっている事と期待しています。

Written by Hashimoto