アルファロメオ156JTS 仕上がりました。
以前より作業を進めています、156が完成間近となりました。
前回では、各部の整備風景をお伝えしましたので、今回はその後のアライメントデータや
サスペンションテストの結果をお届けします。
147や156は新車時のアライメントデータに個体差が多く、デビュー当初はタイヤの偏磨耗が
気になる個体も多かったものです。
年数が経った車が殆んどとなった今では、タイヤの偏磨耗という症状よりも足回りの整備が
必要な個体ばかりですね。
今回のさぎょうでは劣化箇所が複数発見された為、一斉交換を行っています。
交換部品の内容はこの様なラインナップです。
フロント足回り
ショックアブソーバ(ビルシュタインB4):減衰差の発生と納まりの悪さを確認
ロワアーム:アーム先端ボールジョイントにガタを確認
アッパーアーム:ブッシュの劣化による異音の発生
スタビライザーブッシュ:劣化によるガタ・異音を確認
ストラットブーツ:劣化を確認
アッパーマウント:劣化を確認
リヤ足回り
ショックアブソーバ(ビルシュタインB4):珍しく極端な劣化はないものの、フロントに合わせて新調
アッパーマウント:劣化と異音を確認
ストラットブーツ:劣化を確認
スイベル・ロワ・ボルト:曲がりを確認
あらゆる箇所を交換し、部品代金は大きくなりますが、それでも一度に行う利点が大きいです。
何よりも、妥協して交換を避けた後の後悔の方がもっと大きくなります。
サスペンションテストを行ってみました。
作業前のデータと比較すると、グラフ上での変化はさほど大きくないですが、乗るとその違いを大きく実感します。
静粛性・足の動き・ステアリング操作時の素直なコーナリング・全てにおいて良いです。
その結果乗り心地が良いので、気持ちよく走行する事ができます。
4輪トータルアライメントにおいても、その必要性と作業後の良い結果を表す事ができました。
上段は、作業前とありますがここで言う作業前は、分解・組み付け後のデータとなります。
お客様がこれまで走っていた数値ではありません。
ご覧の通り、真っ赤な表示がきになります。
足回りを分解する=アライメント値が変化する と解釈しましょう。
たまに見かけますが、足回りを換えた車輌が、まともにアライメント調整を行わずに走っているケースが気になります。
車高を下げたりした場合、もっと酷く狂います。
ですので、足回り作業とアライメントはセットとお考え下さい。
下段は、アライメントの調整後です。
リヤが自由に動かせるというのは、アライメント作業を行うにあたり非常にありがたい事です。
ほとんどのラテン車は、リヤ足回りの自由度はありませんから。
しかし、それを理由にリヤを未調整で終えるケースも多いそうです。
車の直進安定性も、旋回時の特性を決めるのも実は リヤ なんですね。
フロントはアジャスタ機構が備わる為、とんでも無い方向を向いていても補正が可能です。
反面、左右の足が繋がった様なリヤ足構造の場合は、おかしな方向をむいている場合、
その様に素直に転がっていきますので、注意が必要です。
ですから、当社で行うアライメント調整は、フロントよりもリヤに重点を置く事が多いです。
あらゆる手段を駆使し、最善の方向へ向くように努力しています。
今回の156は、お客様からのインプレッションを伺うのが楽しみな仕上がりとなりました。
永年乗ってこられた1台、次第に劣化が進行し、その状況に慣れてくるものです。
的確な診断と整備を行う事で、新車以上のフィーリングを実現する事が可能です。
真面目な仕上がりを目指す方からのご相談、お待ちしています。