GRIPPER(グリッパー)機械式 LSDの組付け
ルーテシア3RS 軽量フライホイールも組付け


永らくお待たせしていた作業のひとつ。ルーテシア3RSに機械式LSDの組付けでお預かりです。
只今、重整備の控えとしてお待ち頂いているお客様が、沢山いらっしゃいます。そのうちの1台、クリオ3RSのLSD組付け作業にようやく着手できました。「いつになったら俺の車やってくれるのかな?」「もしかして優先度下げられてる?」と思われている方もいらっしゃると思いますが、そんな事はありません。きちんと順番通りにご案内させて頂いています。ですので皆様、しばらくお待ち下さい。

サブフレームを取り外し、トランスミションを降ろします。ここまでは比較的スムーズに進行します。通常ですと、フライホイールとクラッチを交換し、組み付けを行うのですが今回のメイン作業はLSDの組付けも含まれています。この後ミッション分解台に設置し、組み付けのための分解を始めます。

賢い構造のミッションですので、アウターケースの分解は非常にスムーズです。従来のミッションですと、エンドカバーと呼ばれる5速or6速ギヤの納まるケースを外し、そのギヤ単体を分解~そうするとようやくメインケースを分解出来る。という流れですが、クリオ3のミッションは全てのギヤが一体構造の為にケースの分解がし易いです。その為、コンパクトに設計されていますので、余裕を持った搭載が実現しているわけです。ルノーさん、流石ですね。


ですが、ミッションケースの中は結構タイトな構造になっておりまして、知恵の輪のような分解方法を強いられます。

全てのギヤと、セレクタフォーク等を外せば最後にデフギヤを取り出すことが出来ます。FF車の構造の嫌な所がここです。取り扱う多くの車種が、デフケース一体ミッションの為にLSDを組むにはここまで分解する必要があります。一部の車種は、ミッションを降ろさずともデフケースを外す事が出来、ドライシャフトを抜けばLSDを組める効率型構造も存在します。

今回は「GRIPPER」製のLSDを組み付けます。プレート式の為、使い方に合わせて約10通りのセッティングから仕様を決めることが出来ます。内部構造や、製品の精度もレベルが高く、耐久性が高い事も魅力です。アバルトやプジョー106用も設定があります。未だ使ったことはありませんが、気になります。

社外製のLSDを組む場合、最も苦労するのがプリロード調整用のシムの選定です。これまでの経験上、純正供給されるシムのセットでは調整が行えず、更に薄いシムが必要になる事が多いです。前回苦労しましたので、余分に規定外の薄いシムを作っています。今回も、特注シムにてプリロード調整を終えることが出来ました。装着したシム厚 2.23mm 余談ですが私の誕生日の数字の並びと同じです。

オーナーさん曰く、最近のサーキット走行ではサスペンションセッティングが良くなり、その代償としてアクセルを踏みたいのに踏めないストレスが増えたとの事。良い結果が出る事に期待します。
引き続き作業を進めます。

関連記事