デュアロジックの調子を維持する為に今できる事
フィアット500 デュアロジック・メンテナンス


日本国内では主にフィアット500に搭載されている事が主の変速装置「デュアロジックシステム」のメンテナンスや点検・調整を行う機会は多いです。それもそのはず、フィアット500の販売年数を考えると年々ファン層を増やしていますから、台数も増えてきて当然です。お店により見解は様々だと思うのが、整備の方法・手段です。

デュアロジックシステムの作動時、油圧の保持力はとても大切で、非常に高圧な状態で作動を続けています。圧力ポンプで昇圧したオイルを、アキュムレータという圧力タンクに一時的にチャージし、システムを正常作動させています。ポンプの駆動サイクルはシフトチェンジ2~3回につき1回位の頻度で動き続けています。重労働しているという事になります。ギヤ変速とクラッチ操作を、ひとつのユニットで行うのがデュアロジックですが、アバルトMTAの場合は変速機構とクラッチ操作機構は別になっています。労力部分を2分化する事で疲労軽減に成功しています。

いつも頑張って、かわいいチンクを元気に動かすデュアロジックユニットを労わらない手はありません。
そんな思いから生まれたのが「SessA マキシクリア」というデュアロジックの作動油です。最近は使用頻度が高く、オイルの交換を行った車は全体的に作動時の質感が向上します。エンジンオイルを交換すればエンジン性能が良くなったと感じるのと同様に、デュアロジックオイルもそれと同じ効果は得られます。

先程名前の出てきた「アキュムレータ」が弱ると、圧力保持が出来なくなり、その結果ポンプの作動回数が増えてしまいます。出来る限りポンプの作動回数を減らす事は、システムの維持の為に努めたい点です。したがって圧力保持力が低下した場合は、アキュムレータ交換は非常に有効な作業です。
その他にも、チェックしておきたい消耗品があります。

それが上の画像にある、「レリーズレバー」です。この部品はアクチュエータがクラッチを操作する際に直接的に押し込む部分です。金属同士の擦れ合いを繰り返す部分ですから、摩耗は避けられません。定期的にグリスを注油できる場所でも無いので、長期的に使えば確実に減ります。
レバー先端の凹部は画像でも分かるように減り・消耗が確認できます。
実際に測定を行うと、寸法的な違いも確認できます。


たかが0.2mm程度の消耗なのですが、この寸法差がデュアロジックの調整機構に影響を及ぼすこともあるので、機械部品の寸法の差はできる限り小さく抑えていきたいところです。
診断機が無くては行えませんが、定期的なクラッチ調整もしっかりと行いたい内容です。運転条件や、実際の車の動きをECUが監視しながら、ベストな調整を行うシステムですが、人の手の介入も必要な事も多いです。

普段のお預かり作業の際に、しっかりと点検を行い、必要であれば処置を施す。ベストを維持するうえではとても大切な事です。

Written by Hashimoto

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