バルブタイミングとチェーン廻りのメンテナンス
DS3パフォーマンス・エンジンリフレッシュ作業
トータルメンテナンスでのお預かりをさせて頂いているDS3パフォーマンスは、続いてバルブ廻りの整備を行います。プジョー・シトロエンに搭載されている通称1.6ターボエンジンには、このメンテナンスは非常に有効的に効果を発揮します。
作業を行っていていつも思いますが、バルブの開閉時期の適正化はエンジンの性能に直結します。タイミングベルトよりも寿命の長いチェーンドライブ式は、長寿命だからと安心しきらず、早目のメンテナンスを心がける事によりベストコンディションを維持できるものと考えています。
早目のメンテナンスを心がける事により、大きなメリットも出てきます。それは、チェーン寿命までも伸ばすことが可能です。大きな劣化に繋がる前に張りとタイミングを維持する事で、伸びによる異音の発生も防ぐことが可能です。そうすれば結果的にメンテナンス費用は抑えられ、エンジンの調子の維持にも貢献します。
カムシャフトカバーを取り外し、内部の確認・点検を行います。この時点で、これまでのオイル管理が適正か、そうで無いかは見えてきます。直噴エンジン特有のオイルの汚れ易さは、オイルの劣化によるスラッジ化は避ける事が出来ない為、メーカー指定通りの交換サイクルでは無く4サイクルガソリンエンジンの基本に基づいた交換サイクルでの交換を推奨します。
ここから、バルブタイミングの点検を始めますが、まずはクランクシャフトの位置を測定時の規定位置に合わせます。その後、クランクシャフトを固定し、その時のカムシャフト位置をSSTを使って確認します。この時にズレが生じている場合は、調整を行います。
画像中央の黒色のツールがSSTでして、カム位置が適正であれば2つのツールはピッタリと隙間なく合わせる事ができます。
測定の結果、インテークカムシャフトのズレを確認しました。
油圧式チェーンテンショナは、交換をします。役割は名前の通り、チェーンの張り具合を油圧により一定に保つものです。
ダミーテンショナと呼ばれるSSTを、テンショナを外した個所に挿入し、ロッドの長さを測る事によりチェーンの伸びを確認できます。オイル簡易が理想的でない場合は、チェーンンが伸びやすく交換時期が早期に訪れます。
チェーンテンショナは、取付後このような感じに確認できます。
チェーンの背に当たる位置にパッドが装着されており、その部分に対して力を与え張りを保ちます。
今回のハイパワー版のエンジンの場合は、カムシャフトが2本では無く3本備わります。インテーク側カムシャフトを2本とすることで、エンジンの負荷状態に応じてバルブの開閉量をコントロールしています。エンジンが沢山の空気を必要としない場合は、バルブの開度を少なくし、逆に高出力時は吸入空気量を増やす。エコでもあり、出力型でもあり、美味しいとこ取りの制御を行います。
メカニカルな造りは、初めて見ると制御の意味を理解するのに時間がかかります。
組み付け時の仕上げには、少し仕様変更を行いました。カムカバーのタービン側のボルトがアクセスし辛いので、締め付けやすくする様にキャップボルトへの変更です。
エンジン性能を取り戻すことに期待し、引き続き作業を進めます。
Written by Hashimoto