工場通信

695RIVALE 上質化を求めてのご提案
ノーマルの良さを引き立たせます

アバルトシリーズの限定車 695RIVALE はご新規様車両としてのお預かりをさせて頂いています。初めて見させて頂くお車ですので、各部点検からスタートし、基本整備を含めプラスアルファの要素も盛り込みながらのご提案をさせて頂きました。
お客様は、ノーマルの良さを活かした仕上がりをお望みでした。ノーマルの良さを活かすという作業は、ノーマルのダメな所を手直しするとも言い換えられます。アバルトやチンクは、様々な方がお乗りですので、仕上がりの方向性についても様々な展開がございます。当社のコンプリートカーR595は、ノーマルの良さを活かすと言う方向性では無く「全く別物」を目指した車ですので好みは分かれると思いますが、多くのアバルトユーザーの心を掴んで離さない1台の様です。

先日、お客様との会話の中でこんな話がありました。「ここのデモカーは乗ったらアカンやつ」って言われていますよ。「？？？」。最初聞いたときは意味が分かりませんでしたが、説明をして頂くと「試乗したら最後、同じ仕様にしたくなる」という事だそうです。これは最高の褒め言葉でした。皆様が参考したくなる1台という立ち位置に、デモカーが存在する。これからもより良いデモカーとして皆様のお手本で居続けられるように努めていきます。

話が反れましたが、今回は「別物」ではなく「上質」を狙いにいく作業です。サスペンションの大物には手を入れず、基本的には据え置きで。その周辺を整えていきたいと思います。
アバルトのサスペンションセッティングは、硬いというよりは暴れ易い特性を持っています。ちょっとした段差で跳ねてしまったり、速度域が上がると不安定な動きを見せたりと。その性格は好みの分かれる部分です。ホイールベースが短く、ホイールサイズは大きい。そして、リヤサスはトーションビーム式である為に、とても重たい重量物を振り子の様に動かしながら、路面を追従しなければなりません。これは結構過酷な状況なのですよね。
アバルトシリーズは、色々なグレードが有る為に、グレード別で純正ショックアブソーバや純正スプリングも豊富な設定となります。今回の695RIVALEはコンペの様な味付けでは無く、アバルトシリーズの中ではコンフォート寄りのサスペンションが装着されています。硬さは控えめですが、減衰が少し弱いのか若干頼りなくも感じます。

ノーマルサスペンションに存在する、余計な動きと遊びを取り除く事は、乗り心地を大きく変えずに確実なステアリングフィールを実現する事が可能になります。ハードな方向に振らずに安心して曲がれる車にする為に効果的なのは「SessAロワアームブッシュ」です。ノーマルロワアームは、良くも悪くも沢山動くブッシュで構成されています。この動きは、ステアリング操作にも、加速時にも、ブレーキングによる減速時にも、様々な方向に振れ動いてしまう為に、気持ちの良いコーナリングの絶対条件である「舵角一定のハイスピードコーナリング」の実現を妨げます。ピタッと決めたステアリングの切れ角で、そのまま吸い付く様なコーナリングをしてくれる車をご提案したい時、このロワアームブッシュの変更作業は欠かせません。固めると言うよりも、無駄を無くすという言葉がしっくりとくるパーツです。

アバルトは、チンクと比較すると標準装着品が強めに作られているのが特徴的です。

他車種流用の良質なロワアームブッシュを組み付ける事で、緩さを取り除きますので理想的なサスペンションの動きを実現します。お客様にも、同業他社様にも、ご好評を頂いているパーツの一つです。

確認し辛いですが、リジカラも既に入っていました。更には、ASSOさんのパフォーマンスプレートも装着済でした。このパフォーマンスプレートは凝結ポイントが非常に良いと思います。サブフレームに生じる高負荷時の力の逃げに対して効果的に張りを持たせる事が出来そうです。
これらの部品の装着状況からも、お客様のこれまでの方向性に対する意思を色濃く感じます。ダンパーやスプリングはノーマル状態です。

RIVALEの品の良い出で立ちにマッチした、上質化計画を引き続き行います。

Written by Hashimoto