ルーテシア3RS ノーマルの良さを最大限に引き出すには


サスペンションの作業に着手したルーテシア3RSです。ノーマル状態の良さをお気に召されている方が多いという事実が、いかに良い足回りの味付けをメーカーが造り出したかという事の現れだと思います。今回の作業も、ノーマルの良さを活かす為、不具合改善を行っています。

距離と年数経過を重ねると、必ず悪くなるのがストラットアッパーマウントの劣化です。

劣化の進んだアッパーマウントは、上部に亀裂が入る為、ダンパーの上下動に対して不規則な遊びを見せ始めます。その結果、初期の症状としては「なんとなく足の動きがおかしい・特定の入力に対して音を発する」が挙げられます。とにかくこのなんとなくおかしいという症状は、良い状態を知っているととても気になり、そして気持ちの悪い印象を与えてきます。サスペンションの微妙な劣化進行はそいういう要素を各部から発信してきますので、しっかりとした点検作業を基に的を射た作業が必要になります。


新品のマウントは、ゴムの状態が良いのは言うまでもないですが、厚みがあり包容力がありそうです。経過年数を考えると、すべてのルーテシア3RSはマウントの交換時期を迎えていると言えます。

ここ、ナックルの下側のジョイント部(ベアリング)も頻繁に交換を行う箇所の一つです。ダブルアクスルストラットは、ステアリングを左右に動かした際にダンパー角度は固定したままナックルのみを作動させる構造です。そのおかげで、多くのキャスタ角度を設けてもキャンバー変化が起きず、スムーズかつ安定感のあるステアリングフィールを生み出します。メガーヌやルーテシアが、物凄くハンドリングが良く感じるのはこの構造のおかげです。このジョイントはナックルを左右へ動く際にはいつも回転する部分ですのでガタつきの発生はステアリング操作に違和感を与えます。特定の切れ角の際に、ゴクっとした違和感を発する事もあります。

良い状態を維持したい場所ですが、簡単には換えさせてくれない構造と、部品供給状態です。慣れなければ分解に少し手こずりますし、純正品だとナックルアッセンブリの供給となる為とても高額です。
出来る限り良い状態で維持して頂きたい思いから、当社ではリペア用のパーツを用意しています。


完全分解後に、患部のみの組み換えが可能になります。

そうそう。ここを固定するボルトも緩め辛い部分でして、新車からのボルトは錆びていてヘックスの頭は舐める事が多いです。ここも慣れていますので、ボルトの頭にボルトを溶接し一発で外すことを真っ先に選びます。

溶接により母材に適度な熱が加わり、勘合を緩くしてくれる効果も重なり、スムーズに取り外す事が出来ます。舐めたボルトに穴を開け、など昔は行っていましたが労力が必要ですのでこの方法がベストです。

ガタを発していたのは、ステアリングのタイロッドです。今回は左側のみを交換します。ここのガタつきも気持ちが悪く、リフトアップしたタイヤを左右に力をかけるとゴクゴクと微量な遊びを感じる事が出来ます。路面からの入力に対してステアリングホイールをしっかりと握っていても、タイヤだけが左右に動くためハンドルを取られる印象を覚えます。

そして、お客様からのリクエストを頂いていたリジッドメンバーの組み付けです。

ブッシュの抜き替え後に、溶接・塗装を行っています。

ノーマルの良さを最大限に引き出すために、最早必要不可欠なリジッドメンバー、確実におすすめです。
各部のリファインを終え、良い状態に仕上がっていそうで期待が高まります。

引き続き作業を進めます。

Written by Hashimoto

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