クラシックミニと正しく整備に向き合う
クラシックボッシュを使った予防整備


当社に入庫する車の中で、キャブレタ装着車はめっきりと減ってきました。20年くらい前はミニやその他の英国車がわんさかと居たのですけどね。
運転免許を取得後、直ぐに1000ccのミニに乗り始めそこから今に至るまで既に24年が経過していますが、未だクラシックミニは自分の傍らに居まして、大切な相棒としてこの先も共にする事でしょう。

電気の基本・車の診断やトラブル探究・エンジン制御・キャブレタ・エンジンチューニング、色々なことをミニから学びました。振り返ると、あの頃にミニを与えて頂けた会社の環境に感謝の気持ちでいっぱいです。

そんな過去もあり、今でもアナログな車は得意分野のひとつでして、たまに向き合うことで感覚が研がれ、良い時間を過ごせます。

点検整備のミニは、整備の仕上げにエンジン調整も行います。
エンジン調整と聞くとキャブレタ調整を連想しますが、キャブレタは最終の味付け程度。大切なのは、電気の流れや点火システムです。長年の間メンテナンスを行ってきた車に関して、キャブレタに不具合が起きていることはまずありません。

クラシックボッシュ診断機エンジンアナライザで、点火システムの点検を行います。

これは点火2次側波形を表示したものです。4つの似たようなグラフは4気筒エンジンの気筒別に点火状況を現したものです。一番下の段のグラフのみ、最左の部分が他と比べておかしなラインを描いています。この部分は、点火時間や点火電圧を現す箇所でして、プラグの先端でのスパーク状況を現しています。ここに乱れが発生するという事は、正しい点火を行えていない事を意味します。
不思議とエンジンは調子悪くなかったです。

続いては、要求電圧グラフです。最右側のみ、縦に大きく伸びる線が確認できます。プラグに点火するためにどれだけの電気が必要かをグラフ化したものです。先ほどの点火不具合が起きているシリンダの要求電圧は他よりも高い電圧が必要になっている事が分かります。

これは何か潜んでいるに違いないと、各部の点検を進める中で、不具合発生シリンダのプラグコードの中に、導通不具合が重なり青錆びが発生していました。これが間違いなく原因に繋がりそうです。エンジンの不調が発生していないので、予防整備に繋がったと言えます。おそらくこのまま乗り続ける事で、エンジンの点火不良が発生していたと思われます。

他の部分もチェックすると。イグニッションのセンターコードにも同じ事が起きていました。

各部の改善後、先ほどの不具合は改善され綺麗なグラフを描くようになりました。


この様に4本のグラフ全てを同軸上に重ねる事もできます。ブレが無く、理想的な点火グラフです。


そして。最後にようやくキャブレタのメンテナンスを行います。SUキャブレタですので、ダンパーオイルの交換やピストンの清掃を行う必要があります。

古くから車の点火システムや電気系統について、他社とは異なる目線で向き合ってきた当社です。この過去があり、現代でも適正な点火とは何か、確実な電気の巡りとは何か。を常に探究し、整備やパーツという形でお客様にご案内し続けています。それがV-UP16やMSA、ステージ1メンテナンスに繋がっていると言っても過言ではありません。
「良い圧縮・良い混合器・良い点火」、いつの時代も大切な要素です。

Written by Hashimoto

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