フィアット500 デュアロジックと電圧の関係性
トラブルの原因はこういう所に潜みます
フィアット500の点検作業を行っています。走行距離は6万キロを越えたあたり、ワンオーナーでこれまでのトラブルは特に無し。幸運に恵まれた1台です。今回は車検前の点検作業として半日のお預かりをさせて頂き、初診点検を行っています。各部を色々と点検する中で、デュアロジック系統の点検も行いました。ECUテスタによるエラーは無く、シフト操作もスムーズで問題はありません。ですが、ここまでは上澄みの点検結果です。
もう少し深い所までチェックしてみると。今後のトラブルに繋がりそうな事がみつかりました。
このグラフはデュアロジックシステムのECUから読み取る実測値です。
表示しているのは
青:電圧
赤:油圧
緑:エンジン回転
グラフを確認しながら、室内でシフトレバーによる変速をガチャガチャと断続的に行っています。シフトの操作2.5回に1回位の割合で、油圧ポンプが駆動します。
赤線(油圧)が上下するのは、油圧ポンプの作動を意味します。40barまで油圧が下がると、50barまで上昇する。を繰り返している事になります。
シフトの操作と油圧ポンプの作動に合わせて、青線(電圧)も上下しているのが分かります。
上の画像と同じ内容のグラフですが、青線の教示スケールを変更しました。上下動の差を分かりやすくするためです。
エンジンアイドリング中 13.5Vで推移し、シフト操作や油圧ポンプの駆動が重なると12.8Vまで電圧が下がっています。電圧変動の周期に合わせて、エンジンのアイドリング回転も微量ですが上下を繰り返しています。
デュアロジックの作動機構は、電気信号から油圧、そして結果的に消費電力の多いアクチュエータを動かしています。システムの安定作動のためには安定した電圧供給が大切である事は、デュアロジックに限ったことでは無く、全ての電子制御系統に言える事です。
電圧の変動を改善し、基本供給電圧を上げ、システムを安定作動させる為に出来る事と言えば、車種を選ばない基本整備 ステージ1メンテナンスが有効です。
また、より良い作動環境の為に新しい作動油「SessA maxi clear」を用いて、最適化する事をお勧めしたいと思います。
基本的なことですが、基本を忠実に守る事で車は調子が良くなる物です。
Written by Hashimoto