新車のアバルト595 仕上げていきます
フルオーダー・コンプリート・アバルトの製作 第6章
新車のフルオーダー595の作業も大詰めとなってきました。オリジナル・サスペンションの組付けを終え、車高を整えSDLによるサスペンションのチェックをした後に4輪トータルアライメントでサスペンションの最終仕上げを行います。良い足を活かす、アライメント技術を駆使して仕上げていきます。
アライメント作業は、車両が地面に着地した状態を想定して行います。当社では、腰回りほどの高さの強靭な台の上に車を載せて作業を行っています。アライメント作業の手法は色々あると思いますが、着地のさせ方や1G状態の再現方法は様々だと解釈しています。車両の下側に入り込み、1G状態で無ければできない事が無数にありますので、いろいろな技を盛り込みながら作業を行います。
これはリヤ側のサブフレームボルトの増し締めを行っています。FF車は、リヤ側の数値をどこに設定するかが、コーナリング性能と直進性を向上させる最大のポイントです。車高が下がればリヤのトーが増すのは必然です。そのままではリヤがきれいに付いて来ず、アンダーステア傾向となります。リヤのスラストアングルや、トーの値、キャンバー角度、これらをミリ単位で微調整を行う事で、狙いを定めたサスペンションセッティングが可能となります。
おそらく、これが最も難易度の高い調整作業と言えるでしょう。調整機構の無い箇所でいかに理想数値を刻むか、ここに全てがかかっています。
運転するのが楽しい!と思って頂ける車造りの決め手、4輪トータルアライメントは1台の車を仕上げるにあたっての最重要項目とも言えます。
今回のオーダー作業の残すところは、サベルトシートのローダウンとエンジン廻りのバージョンアップです。
オーダーを頂いているお客様に、途中段階で何度かご来店をして頂いています。足回りが仕上がった頃の試運転では新車時とは大きく違う楽しさを見出して頂けたようです。会話をしていると、もっと色々と作業を盛り込みたいという気持ちが伝わってくるのですが、こちらでそのご要望にブレーキをかけさせて頂いている状況です。じっくり行きましょう。
Written by Hashimoto