アバルト&チンク よくある故障・トラブル事例
水漏れとシャシボルトの劣化
フライホイール交換を進めているアバルトの作業中のひとこまです。作業前の点検時に気付けていたので、今回の作業と合わせて施工しています。サーモスタット部の水漏れですね。アバルト以外のチンクも同様に水廻り(冷却系統)のトラブルは頻発しますが、アバルトの場合は事例が異なります。NAチンクではサーモスタット・ハウジングに備わる樹脂製のホース差し込み部が劣化で割れて盛大に冷却水を漏らします。アバルトの場合、その部分こそは金属製が装着されている為、破損はしません。ですが、クーラントタンクに繋がるホースのジョイント部が樹脂製でして、この部分がポッキリと折れたり、折れなくても水漏れを起こしたりしている事が良く有ります。
樹脂製コネクタのみの供給はされておらず、ホースのセットでの部品設定です。このホースが結構高額なので、上手に部品を探して樹脂のコネクタのみ交換する事が多いです。
もちろん、サーモスタットも交換します。ひとまずこれで安心です。
通常ですと、エンジンルーム上側から作業を行いますが、今回はミッションとフライホイールを分解している間に交換を行います。開放的で作業性抜群です。
もうひとつは、シャシ廻りの凝結ボルトに関する不具合です。フライホイール交換や、クラッチ交換の際に度々外すのがサブフレームです。
これらを固定するボルトに問題が生じる事が多いです。
どういうわけか、ボディの埋め込みナットの部分に雨水が溜まりやすくなっていて、入った水は抜けにくい構造の様です。大抵の場合は緩めた際に錆水や黒い水が飛び散り、顔に飛んできます。ボルトを外した後にホールからダラダラと水が滴る場合も多々あります。
今の所、そこまで重症な状態には幸い遭遇しておらず、緩まなかった事は無いのですが数年後が怖いです。さらには、融雪剤散布地域の車を手掛ける際はもっと怖いです。見えない所で錆が進行するわけですからね。
今回も、ボルトを外す事は出来ましたが、結構錆が発生しています。
ダイスを通してねじ山を綺麗にし、ワイヤグラインダで付着した汚れを除去します。
その後ボディ側の埋め込みナットの中にグリスを沢山注入します。水抜きの穴を開けた方が良いのかな?とも考えています。
こうなる前に、一度ボルトを緩めて外し、同様の対策を施していきたいですね。でも、その最中に問題が発生したらと思うと簡単にはお勧めできません。リスクを伴う予防整備ですかね。予防段階で問題が発生した場合はフレーム降ろしがもれなく追加になります。
全ての作業が平和に終われば言うこと無いのですが、車両整備には常々個体差という邪魔者が付いて回ります。
Written by Hashimoto