エアコン トラブルを防ぐには。
コンプレッサはエンジンみたいなもの。
皆さんはエアコンのコンプレッサが、どのような構造で動いているのかをご存知ですか。
エアコンガスを吸引し、圧縮し、高圧状態で排出する。点火・燃焼行程が無いだけで機構はエンジンと同じです。回転方式は車のエンジンと異なりますが、クランク・コンロッド・バルブの働きをする部品が備わっています。エアコンガスが入っていればオッケー。ではなく、高温・高回転・高圧縮で作動しますので、そこを潤滑するオイルの重要性も忘れてはなりません。
意外とこういう構造になっているという事を、ご存知無いと思って先日交換したカングーのコンプレッサを分解してみました。
内部部品を取り外すと、コンプレッサのボディはこの様な形を現わします。6個の穴が開いています。6気筒エンジンでは無く、6SELと呼びます。5SELで有ることも多いです。言ってみればココがシリンダーですね。
このシリンダの中に入るのが、ピストンです。
先端の丸い箇所がピストン・銀色の棒はコンロッド・その付け根がクランクの役割をしています。
そしてこちらが、吸入・排出を行うバルブ機構です。とても効率的な形をしています。
こちらは、コンプレッサの回転をコントロールするマグネットクラッチと、外周のベルトプーリーです。
電源を入れることで、マグネットスイッチが通電し、磁力を発生します。その磁力によりクラッチが凝結しピストンを回し始めます。それ以外の電源オフ時はプーリのみが空転するため、ただの回転抵抗しか発生しませんが、通電中は先述のエンジンを回す事になるためコンプレッサの駆動抵抗が発生します。エアコンを入れるとパワーを食われたり、燃費が悪化するのは駆動抵抗を伴うからですね。ACボタンを押すと「カチッ」と音がしますが、その際にこのクラッチが凝結してるのです。
部品を羅列しましたが、ご覧の通りなんだか黒光していますよね。これは、内部潤滑油の汚れの為です。エアコンシステムは、配管内の殆どはガスが充填されていてオイルは僅かな量で作動します。かなりの重労働ですよ。でもオイルは少し。と言うことは..そうです。潤滑油の劣化⇒金属部品の摩耗・熱量も上がり効率低下です。
エンジンオイルの交換は、誰もがその必要性を認識しています。でも、エアコンシステムのオイルを交換してあげたいなと思う方は滅多に居ません。オイル管理を適正に行うのは当社ではBOSCH ACSの仕事です。何mlのオイルを回収出来て、何mlを補充するか。ガス量を適正に入れるか、それだけでエアコンシステムは確実に長寿命化が可能です。
特に最新のエアコンシステムは、基本常時オンが前提で有ることが多いです。操作パネルを確認すると分かりますが、昔は「AC ON」のスイッチでした。今は「AC OFF」のスイッチに変わってきています。より快適な車内空間を作る為に、車側も頑張っているのですね。エアコンは夏にしか使ってないから。とお考えの方、そう思っているのは本人だけで知らないうちにエアコンは作動しているのですよ。
エアコンメンテナンスは夏だけで無く、オールシーズン必要という事です。一年に一度はエアコンメンテナンスを行う事をお勧めしています。
Written by Hashimoto