HALスプリングという選択
ルノークリオ3RSのスプリングを適正化
サスペンションスプリングは、同じ様な形状に見えてもそれぞれに性格があるのをご存じですか?
今回使用するスプリングは、今流行の低反発直巻きスプリングです。
HALスプリングというブランドを用います。スプリングに徹底した拘りを持つメーカーで種類が多いのが特徴です。
低反発・中反発・高反発と、用途別にあらゆる設定が展開されています。
使用する車はルノークリオ3RS
現在は既存商品の車高調整キットに備わるスプリングを使用しています。
今回スプリングを交換する主な理由。
プリテンションが掛かりすぎている事
線間密着をしている事
これが理由です。
アジャスタリングが目一杯まで上に来ています。
この状態でスプリングに無理な力が掛かっていなければ良いのですが、調べて見ると自由長は200mmでした。
ところがセット長は155mmです。45mm縮めている事になります。
こうなると、スプリングは常に伸びよう伸びようとするわけで、不自然な反発力を感じるようになってきます。
今回用意したスプリングの自由長はおなじ200mmです。レートを変更しました。
黄色のスプリングには黒色の筋が確認できます。これが使用過程において線間密着をしていた痕跡です。
お客様は、特定の段差で非常に強い衝撃がある。との事でしたので、おそらくこれが原因とおもいます。
足廻りから伝わる嫌な印象は、色々なパターンが存在します。
減衰が効いておらず、ガツンとくる
線間密着故にガツンとくる
ダンパーが底付きしてガツンとくる
そもそもセッティングが合っていなくてガツンとくる
どの症状が発生しているのかは、お客様では判断しづらいことが多いのが現実です。
今回は間違い無くレート不足からくるものですので、レートアップをする事に。
レート上げると、硬くはなるのですが、そこを緩和させるべく「低反発直巻きスプリング」を選択しました。
アッパーの台座の内寸とバネの外寸のサイズが合わず、困りましたが、旋盤加工でクリアします。
アッパーマウントは左右共に分離していました。ここが悪くなると、乗り心地も操作性も悪くなります。
セット長さも自然になりました。とても同じ長さのバネには見えません。
この位セット長さに差が出ているにもかかわらず、車高は同じ寸法を維持できます。
スプリングは、伸びることも、縮むことも無理なく動く事が出来ます。
そうすると、ダンパーもキレイに動く事が可能になります。
スプリングの特性を変え、足廻りに変化を付ける。
とても面白い作業です。
Written by Hashimoto