エンジンをベストパフォーマンスに保つ機械的調整作業


プジョー・シトロエンに搭載される1.6ターボエンジンのベストパフォーマンスを維持するために行う、機械的調整作業を行います。

このエンジンはタイミングベルト式では無く、チェーンドライブ機構の為にベルト式のような定期的なサイクルでの点検・交換を行うルーティーンが設定されておらず、知らず知らずの内にカムタイミングにズレが生じます。ズレ幅については、最も大きく影響するのが「定期的な良質なオイルでのオイル交換」と言っても過言ではありません。

今回施工する207GTiは、遠方のお客様ですが当社のエンジンオイルを定期的にお買い求めいただき、地元でオイル交換を施工して頂いています。
つまり、オイル交換サイクルには間違いが無い車両と言い切れます。

今回は様々なメンテナンスの施工の為に、お預かりをさせて頂いています。ご相談事項のひとつ。冷間時のエンジンからのガラガラ音、この事項について調べるべくタイミングチェーン及びバルブタイミングについて点検を始めました。

これらの作業を行うためには、まずはカムカバーを外し、それぞれのSSTを各部にセットする事から始まります。

ピストン(クランク位置)を正しく検出した際の、カムシャフト角度をデジタル分度器にて確認を行います。
すると、インテーク側で3.3度の狂いが確認できました。これはなかなか調整し応えのある数値です。

この状態では、カムロックツールは角度が異なるためにセットする事が出来ません。

カムロックツールをセットできるようになるまで、カムアングルの調整を行います。


カムシャフトの調整を終えたら、続いてはチェーンテンショナの点検と、チェーンの伸びを確認します。


既存の油圧式テンショナを取り外し、その代わりにツールを外した箇所へとセットします。
その際にダミーテンショナのネジ部の出面を測定することでチェーンの伸びを確認します。基準値内であったため、テンショナのみの交換で終えれました。


おそらく、オイル管理が悪かった場合はチェーンの交換も必要になったのではないかと予想できます。


カムタイミングの正しくとれたエンジンは、数値面から調子の良さに期待が持てます。

この後はクラッチ系統などの作業を行いますが、試運転と変化が楽しみです。

Written by Hashimoto

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