MG MIDGET エンジンの基本調整を行います
車検整備の一環で行うのがエンジンの基本調整です。現代の車とは異なり、車両診断テスターと通信できるわけはありませんが、アナログな車にはアナログなテスターで向き合います。画像はBOSCH MOTエンジンアナライザに接続した風景です。いくつもの配線が車両に繋がり、まるで病院の様ですよね。永年使用しているテスターです。点火システムや、燃調関係の不具合、色々な事が分かります。
今回のMGにはエンジンの不調や、燃調の不調など試運転で感じる不具合は皆無でした。キャブレタの車に接する際に真っ先にキャブに手を掛けるケースもある様ですが、自分の場合はまずはキャブではありません。ケースバイケースですが、キャブが調子悪い車は大抵の場合は点火系統もおかしいです。まずは点火システムをしっかりと診断・調整を行う必要があります。普通に走ることが出来るならばキャブは一番最後で良いと思います。
っと言うわけで、アナライザに繋いで分かったこと、調整すると更に良くなりそうな事がありました。
初めて診る場合意味不明だと思います。
これは、ポイントの閉じている時間を%で現しています。76.2%閉じている。。。ポイントギャップが狭すぎる様です。理想の数値は60%を目指したいところです。ポイントで作る火花の力がその先のデスビに伝わり、そしてプラグコードを伝わり、プラグに点火します。狭すぎる場合は低回転時の点火力が薄くなりトルクの低下・プラグのミスファイアに繋がります。そもそもOHVのエンジンですので、低回転の滑らかさに重点を置きたいです。
デスビ内部をチェックしてみると。
狭い!隙間がほとんどありません。テスタは裏切らないですね。
これは、オシロスコープで確認する、点火2次側の波形です。下から2段目の最も左側の波形がプラグに火が飛ぶ状況に異常がある事が分かります。
大抵の場合はスパークプラグの燻りによる乱れです。アイドリングが時折乱れるのはこれが原因ですね。
これは、アナライザの機能のひとつ、シリンダバランスの測定です。1-3-4-2の点火順序の順番で1気筒づつ点火を停止させています。それぞれのシリンダが何パーセント仕事をしているかが一目瞭然で判断できます。多連キャブレタの場合、キャブの同調を取る事にも有効です。
アナログな車にデジタル診断、面白いでしょ。
プラグコードも、世間的には良い物が装着されています。
プラグコードやプラグの抵抗値を測定しています。これはセンターコード 約1KΩです。
全体的に抵抗値が少ないです。
基本のコードはこのまま使いますが、センターコードのみ自社製に変更します。
BOSCHのハイテンションコードと、サフレサです。BOSCHはむかしからこの様な部品の品揃えが素晴らしく、抵抗値をきっちりとコントロールしながら理想的な点火システムを構築できます。
点火システムの調整の後は、スパークラインがキレイになりました。
OHVのエンジンは、バルブクリアランスの調整が容易に行えます。今回は全体的に隙間が詰まった状態・バラツキもありました。
そして、最後にキャブレタの点検です。
ジェットのチェック、インナーベンチュリのサイズのチェック等を行いました。こういうところを入念に詰めていくと、更に良い回り方を実現出来そうです。
Written by Hashimoto