ルーテシアRS サーモスタット交換とLLCの濃度分析
HIDの作業は完了し続きましては、サーモスタットの交換に移ります。
サーモスタットを取り出してみると、規定水温に達する前に、バルブが開放状態
となっていました。
こちらが正常品です。
画像から違いが分かりますね。
この状況では水温の安定化は難しいはずです。
クーラントを回収し、クーラントラインをフラッシング洗浄を繰り返します。
ここで、気になったことがありますので、濃度分析を始めました。
水温の不安定な原因が、サーモスタットだけの原因かどうか?を調べます。
1回目の回収で抜き取ったクーラントを分析したところ、不凍温度がマイナス50度を
軽くオーバーしていました。
3回目の回収・洗浄を行ったクーラントを性能試験で診断してみると。
ようやくマイナス20度に落ち着きました。
一回の回収で吸出せるクーラントの量は、ルーテシア3RSの場合で約4リットルです。
この作業を繰り返し進めています。
4回目の結果
マイナス1.5度、位でしょうか。
ここから、新しいクーラントを封入していきます。
当社のクーラントは、希釈は行わずにそのまま使用するLLCを使用しています。
SessAブランドのクーラントですが、いつもお世話になっているオイルメーカーの
Lubross(ルブロス)さんに調合してもらっています。
マイナス20度の濃度ですので、日本での使用には問題ありませんが、寒冷地仕様
をご希望される場合はその事をお知らせください。
専用濃度をご用意します。
さて、本題に戻ります。
クーラント濃度を濃くすると、不凍温度はどんどん上がります。
今回の一回目の回収はマイナス50度ですから、特濃状態となっていました。
濃ければ高性能という認識は大きな誤りでして、濃ければ濃いほどに
クーラントの粘度が増します。I(ウォータポンプのフリクションが増大します。)
また、熱しやすく・冷め難い、特性になります。
オーバーヒート気味という事ですね。
サーモスタットが開き放しになっていたおかげで、水温上昇を抑えられたのかもしれません。
使用する地域性を理解し、適正濃度を選択する事がベストチョイスというわけです。
何事も、丁度良いが最適です。
車の整備は、基本に忠実が一番です。
基本は忠実に、そこからどんな味付けでお客様の好みに仕上げていくか、を考えるのが
私たちのご提供する整備であり、その先にカスタムやチューニングがあると考えています。
私達は整備を真剣に行い、そして楽しみ、お客様には愛車を存分に楽しんで頂く。
ここがシンクロする事に喜びを感じています。