プジョー106 S16 LSDとトランスミッションのオーバーホールですが...
今回は、私の好物でもある作業のご紹介です。
106S16 MAミッションのオーバーホールに加えて、CUSCO LSDのメンテンナスを行ないます。
当車輌のオーナー様は、サーキットを走る為の車輌として106を保有されています。
さて、中身はどんな状態でしょうか。
皆様からの多数頂ける作業依頼のおかげさまです。この状態まではすぐに分解可能となりました。
ここからが重要です。
ハードな使い方をしている車輌ですから、思いがけない事態が発生している可能性があります。
内部パーツをくまなくチェックしていきます。
分解前、清掃・脱脂後に各ギヤを手で回して異音などが無いか調べます。
妙な回転音が出るな~と思っていたら、やっぱり!ストップリングが粉砕していました。
非常に危険な状態です。
それだけではありません。
プライマリーシャフトのリバースギヤが...数箇所砕けています。
これの相手となる、リバースギヤも3箇所程激しく欠けていました。
当然ながら、プライマリシャフトは交換となります。でも新品高い!7万円以上します。
リバースギヤも交換です。双方合わせておそらく10万円越え..厳しい内容になってきました。
こういう時は、普段は邪魔な中古品ストックを探ってみます。
5本のプライマリシャフトが発掘できました。コンプリートのセカンダリシャフトも見つかりました。
106愛好家の中では有名な話ですが、前期型と後期型では3速ギヤのギヤ比が違うのです。
今回の作業車輌は、後期型です。でも、ここにあるシャフト全部前期型なのです。参りました。
ならば、内部ギヤ全部を組み替えるか!っと言う手段でいくしかありません。
お客様も、ギヤ比の違いについてはご存知でした。
どの程度違うのか?を明確にすべく分かりやすいデータを用意しました。
上記のグラフは、前期・後期の106ギヤ比を元に計算したものです。
6800回転でシウトアップを行なった際、回転の落ち込みがどの程度なのか?が分かります。
左は後期のグラフ・右は前期のグラフです。
後期型は3速への変速時、4733rpm.に落ち込みます。
前期型は3速への変速時、4766rpm.に落ち込みます。
その差 33rpm.でした。
話を聞くだけだと、2速と3速は近い方が良いんで...となりますが、こうやって違いが明確になれば
あ、案外変わらないのね。とうなづけます。
なので、お客様の同意の下に前期型へコンバージョンします。
ちょっとめんどくさいですが、こんな事も行ないながら組み付けを行ないます。
その昔、初めてミニのトランスミッションを組み付ける際に教わった事ですね。
当時はなんでこんな事?とも思いましたが、機械加工品の仕上げは組み付ける人間が行なうという
スルーしそうで、スルーできないポイントだと思います。
LSDです。
CUSCO LSDは、内部カムに種類が混在しています。
今回の車輌は 35°と45° 2種のワンウェイが選択可能です。
現行モデルは、1.5ウェイを選択する事も可能です。
この作業を行なう時、いつもお客様の事を考えながら組み合わせを考えます。
当社のお客様、こういう仕様についてのご指名が無いケースが多いです。
なので、こちらで考えざるを得ません。
街乗りメインなのか、どこのサーキットを走るのか、その方の走り方など、いろいろと考えながら組み合わせます。
その横には、別の車用ですが、組み付け待ちのLSDが待っています。
このお客様の車も、楽しい1台に仕上がりそうです。
106用CUSCO製LSD、在庫あります!
LSDの導入をご検討中の方、ご相談お待ちしています。