プジョー207 クラッチ整備の際に行った事
プジョー207のクラッチ交換・ライトウェイトフライホイールの交換と合わせて、各部の改善作業を
進めています。
当社のオリジナル商品、軽量フライホイール 1.6THP用は207にも使用可能です。
207は純正装着フライホイールがデュアルマス構造では無い為、軽量化の割合としての効果は
小さめではありますが、ピックアップレスポンスの向上は体感できます。
作業の詳細は、過去に取り付けを行った207GTIと同様です。
宜しければ過去の工場通信をご確認下さい。
今回は、重整備の際に併せて行う細かな作業をご紹介します。
こういった作業は、全車が該当するわけではなく、作業進行中に気になった事を
それぞれに合わせて対処しています。
例えば、スタイビライザバーに対しての対処
スタビライザは、棒状のスプリングですね。
左右のサスペンションを繋ぎ、車のロール角を抑え、接地感を増す為に殆んどの車に備わる
構成部品の1つです。
スタビを強化する、という話もチューニングパーツの世界では当り前な話ですが、
太く硬いバーにしてその恩恵を本当に理解できる方は、一握りだと思います。
最近、作業を進めていてスタビに触れるときいつも思うのが、ブッシュとスタビライザーバーの
勘合力の強さです。
ブッシュでしっかりと抱え込んで、締め付けているのですね。
この場合、ブッシュ劣化による異音の発生はしませんが、スタビの効き方に突っ張った印象が
一般の運転条件内でも感じます。
車の動きに対して、角がある様に思えるとも言えます。
左右のスタビリンクをフリーにし、スタビバーのどちらか一端を手で持ち上げるように動かそうとしても
ビクともしません。
スタビライザの支点は、マウントブッシュですがあくまでここはフリーで滑らかに動いて欲しい箇所です。
ショックアブソーバの収縮に対して、スタビがきちんと動くと、レバー比上のおかしな作動もしなくなるのです。
対処としては、スタビマウントを外せる環境になった際に、一度その部分をシリコン系の潤滑材で
円滑に動く様にしてみる事です。
そうすると、先程まではビクともしなかったバーが、少しの力を加えると上下に動くようになります。
画像がアップ過ぎて見づらいですが、手で上下に動かしている写真です。
車高を下げた際にスタビリンクロッドの長さを変えるというのも有名な話ですね。
リンクロッドの長さを変えない場合は、さらにこの部分の動きは重要になります。
体感的には少しの変化かもしれませんが、施工するのとしないのとではやはり変わります。
小さな事の積み重ねで車は変わりますからね。
次は、ブレーキパッドが低ダストを装着している場合
当社の低ダストパッドの魅力は、粉が出ない・減らない・初期制動を抑え、踏む込めば効く
なのですが、この減らないとう点が時にネックになったりもします。
対向ピストン式では無いキャリパーは、ピストンの無い側(ホイール側)のパッドはフローティング機構
によってパッドをロータに引き寄せて効かせています。
ピストン側は、パッドをロータに押し付けて効かせています。
フローティング機構にはシリコングリスによる潤滑で、滑らかに動く様になっているのですが、
パッドが減らない場合、この部分をメンテナンスする機会を逃すのです。
通常であれば定期的にパッドを交換する為、各部の動きをチェックし、清掃・グリスアップを
施します。
これを行わないと、フローティング部が固着を起こし、外側のパッドと内側のパッドの
制動力に差が発生し、正常なブレーキ能力を維持できなくなります。
なので、パッドは減っていなくとも、分解・点検・清掃・給油は必要なのです。
ここがフローティング機構です。
内部を掃除し、シリコングリスで組み付けます。
永く良い状態で乗るには、整備する側がどういう気持ちで車と向き合うかも大切ですね。