1.6THP CITROEN DS3 トランスミッションのオーバーホール
3速へのシフトアップ&ダウンの際に、必ずギヤ鳴りを発生する車輌のトランスミッションを
修理しました。
純粋にミッションオーバーホールの作業が必要となる車輌は、最近では珍しいです。
LSDの組み付け時に分解・組みつけを行う事はあっても、ギヤ鳴りしかもDS3ですよ。
どんな状況になっているかも気になるところですね。
トランスミッションを降ろし、さくっと分解します。
見慣れた106のトランスミッションの内部と比べると、各ギヤのモジュールが細かく
設定されいるのに気付かされます。
現代らしいギヤです。
リバースギヤにもシンクロ構造が組み込まれています。
さらに分解を進めます。
トランスミッション内部の作業には、非常に沢山の細かいパーツを使用します。
ですので、それぞれの部品の品番が、どのギヤシャフト列に使用されていて、
数量は正しいのか?形状は合っているのか?など部品図と照らし合わせながら
確認を行います。
それと同時に、使用するシャフト毎に部品を振り分けて、作業性も向上させます。
インプットシャフトと、リバースギヤ
そして、アウトプットシャフトそれぞれのパートに分けて配置します。
シンクロの効き具合を動画に残しました。
向かって一番左側のギヤが3速です。
問題発生の箇所は、回転するギヤに対してハブを押し寄せてもギヤの回転に
制動がかかりません。これがシンクロが効かない状況です。
それに対して、その他のシンクロは、押し寄せる事で回転に制動がかかります。
この状況が、実際のシフトチェンジ時に行われています。
シンクロハブも数点の部品から構成されています。
こちらは4速側です。
正常なシンクロリングと、異常磨耗したシンクロリングです。
制動をかける為のギザギザが無くなり、ツルツルになっています。
これでは空転しますから、ギヤ鳴りがして当然です。
従来であれば細いニードルベアリングが入っていそうな箇所にも、容量の大きなベアリング
が入っていました。
高出力化に対応した設計なのですね。
各部の組み替えを終えました。
LSDを組んでおかないと、勿体無い...と思ってしまうのでした。