ムルティプラの排気漏れの修理とインジェクタノズルのオーバーホール
多岐に渡る整備が完了し、本日無事に納車となりましたムルティプラの整備中のひとこまです。
お車の試運転をする際に気になったのが、室内に漂う排気ガスの臭いです。
何も無ければ室内に排気ガスの臭いは入ってきませんので、原因を探ります。
ムルティプラは、前方吸気・後方排気レイアウトのエンジンの為、エキゾースト周りの
排気漏れを安易に確認する事が難しいのです。
エンジンをアイドリング始動させながら、遮熱板の中へ聴診器を入れ込みます。
その内部のどこかで排気ガスが漏れていないかを特定する為です。
すると、耳に伝わる「ズボボボ~ッ」という鼓動間を伴なう音が内部に響いていました。
間違いなくマニホールド内で漏れていますので、分解・点検を行います。
インテークマニホールドを外す必要もあり、簡単に点検が可能な状態ではありません。
どこが?って感じですので拡大しましょう。
表も裏も鋳物のマニホールドにクラックが。。合計3箇所割れています。
重症ですね。
新品を購入すると無駄に高価な部品ですので、程度の良い中古品に交換します。
これで一安心と思いきや。。まだあるのです。
今度は触媒のフランジ部の溶接箇所にクラックです。
しかもこちらも盛大に。
そりゃ臭うはずですね。
触媒を通過する前のガスですので、生まれたての排気ガスです。
濃度濃いですよ~。
こちらはクラックを溶接修理し、完了です。
続いては、この機会ですのでインジェクターノズルもチェックします。
ノズルの納まるレールごと外してきます。
インマニの下側に隠れるように装着されていますから、普段はほとんど見えません。
ノズルに接続される配線は、硬化しており、レールと接触し配線被覆にもダメージを
確認できました。
ショートすると間違いなく不調が発生します。
組み付け時に対策しましょう。
レールからノズルを取り外し、ノズルテスタでの診断を行います。
その写真は残せていません。
行う事は、
1.ノズルの抵抗値測定
2.リークテスト
3.噴霧パターン点検
4.噴霧量測定
5.超音波洗浄
6.フィルターとシールリングの交換
その後、1~4を繰り返します。
この小さなインジェクタノズルの中に、更に小さなフィルターが入っています。
こんなに小さいです。
タバコやライターの大きさと比較すると、分かり易いですね。
小指の詰めほどの長さで、幅はそれよりも細いです。
繊細なノズルを保護する為に必要な装備です。
取り外したフィルターはよく見ると、小さなゴミの付着も確認できます。
永年使用したインジェクターノズルは、クリーニングにより噴霧量が安定し、スプレーパターンも
整います。
そうすると、エンジンにとって最適な燃料噴射が可能になります。
不調の出る前でよかったです。