旧パンダ(141)も進行中
すみません。パンダだらけです。
走行距離がグングンと育っている1台です。
今回は普通に点検整備で終える予定だったのですが、予防整備という事で
タイミングベルトの交換に合わせて、シリンダヘッドのオーバーホールも行います。
距離的にも、時期的にも、ヘッドガスケットがいつ抜けてもおかしくないそんな厄年を
迎えている為、お客様からのタイミングベルト交換のリクエストに対して、こちらからの
予防整備のご案内をさせて頂きました。
ヘッドガスケットが抜けるとはこんな状態の事を言います。
ルノーカングー エンジン内部における不具合の修理
エンジン圧縮漏れ あからさまな例
ガスケットやシールといった部品は、時間が経てば必ず劣化します。
外部から簡単にアクセスの可能な場所であれば、漏れた所をピンポイントで
交換すれば良いのですが、それがエンジン内部となると手間と時間が必要になります。
今回の様にヘッドガスケットの場合、タイミングベルトを外す必要も出てきます。
最も避けたいケースは、タイミングベルトを交換した後に、ヘッドガスケットが不具合を
起こす事です。
お客様にとっても痛い出費となります。
なので今回はそうなる前に手を打つ策に出ました。
外観の非常に綺麗なパンダですので、カムカバー内部の汚れはどうかな?と思い
開けてみたところ予想外に褐色汚れが多くて驚きました。
過去のオーナーのオイル管理における、スパンが長かった事が原因です。
こういう時にその車の使い方・愛され度まで分かってしまうものです。
新車の頃から3000キロに1回のサイクルで、オイル管理の行われていたエンジンは
10万キロを越えても物凄く綺麗な中身が確認できます。
分解前の確認では、ベルトのヒビでは無く、弛みに怖さを感じました。
この頃のパンダはベルトテンショナが固定式の為、ベルト伸びが誘発されます。
ですからベルト交換のサイクル以外でベルトの張力を点検する必要もあります。
ランチアデルタや、プジョーの205も同じ様な事が言えます。
オートテンショナが採用されているエンジンの場合は、ベルトに無理な力が
掛かる際は、自動調整機構により張力を緩めて負担を軽減します。
取り外したシリンダヘッドの燃焼室側
気筒ごとにバルブの色が違っていたり、スラッジの付着具合が様々であったりと
バラつきがあるのが確認できます。
タイミングベルト側の燃焼室周囲は、ガスケットの当たりに問題がある変色も確認できます。
こちらは、ブロック側
ピストントップが乾いた状態では無く、湿った状態です。
オイル混入量が多い為、このような状態になります。
燃焼室にエンジンオイルが混入すると、混合気の完全燃焼の妨げになる為、カーボンスラッジが
多く発生します。繰り返す事で悪循環が発生し、汚れの蓄積は増えます。
ピストンリング周囲にもそれらは蓄積される為、リングの収縮がスムーズに行えなくなり、
シリンダブロック壁面を傷つけたり、消耗を進めたりと2次的被害が拡大します。
だからこそ定期的なカーボンクリーニングが必要となるのです。
そして、加工作業より戻ってきたシリンダヘッドです。
今回はヘッドの最小単位での平面研磨・バルブシートカット・フェース研磨を行っています。
当社でのバルブ摺り合わせや、各部の組み立てを行い、組み付け作業を進めていきます。
年数の経た車に乗り続けるか、どうするか悩む方は多いと思います。
はっきりと言えるのは、メンテナンス次第ではまだまだ乗れるという事です。
心機一転の新車購入も魅力を感じますが、永年愛した車にしっかりと手を入れる事で
とことん付き合う1台に仕上る事も素敵です。
愛車とどう付き合うか、千差万別ですが共通して言える事はメンテナンスを怠らない事、
そして、基本整備を徹底する事だと思います。