デュアロジック トラブルで動けない..
フィアット500 ツインエアー デュアロジック搭載車輌は、昨年の末からトランスミッションの不具合が発生し、レッカー搬送でお車をお預りさせて頂いています。
入庫の当初はトラブルのリカバリーにより、自力走行が可能になっていたのですが暫くするとお客様から伺っていた症状が再発し、走行が不能な状況に陥りました。
原因はクラッチ操作力の増大と、デュアロジックアクチュエータが機嫌を損ねた事にありそうです。
アクチュエータとミッション本体を取り外し、気になっていたクラッチの作動時の荷重をチェックします。
結構大きな作動力を必要としている事が分かりました。
156キロの荷重値は、クラッチが切れる前の操作力です。
思った以上に大きな数値を叩き出しました。
そのまま押し込み続けて、クラッチが切れる際の荷重値は約120キロです。
中間域で荷重値が増えるのは、ダイヤフラムを押し込む力が必要なためです。
すなわち、クラッチの消耗が原因となります。
一見するとあまり減っていないクラッチディスク。
スリットは残っていますが、繋ぎ合わせているリベットとの距離感は割と近め。
新旧のディスク圧の測定では、約1.4mmの消耗を確認します。
このところ、デュアロジックのクラッチ交換の際に極限まで減ったクラッチを見てきたせいか、耐性がついた様です。
数値的には減っているものの、あまり驚きませんでした。
施工前のテスタによる実測値の確認に際して、クラッチ操作の際の電流値を確認していました。
消費電力が多く、あ~だいぶ減ってるな~とは思っていましたが、操作力のウェイトはなかなかの数値でした。
ここの予想は的中。
次は、デュアロジックアクチュエータのご機嫌を伺います。
テスタ診断の際に、4種ほどのエラーを拾っており、アクチュエータ本体がヤバいかな~?と思っていました。
各部のチェックをしていると、気になる点がみつかりました。
シフト操作の機械的凝結・解除を操作する電磁アクチュエータの電極にオイルが溜まっています。
この部分は、ギヤオイルが流れ込んできやすい傾向にあります。
構造上の弱点ですかね。
5万キロ程度のサイクルで、この部分のメンテナンスを行うとトラブル予防に繋がります。
今回は、混入したギヤオイルの除去・脱脂・機械部分の潤滑を行い、組み付け後に様子見します。
外したミッションケースの洗浄を行い、クラッチレリーズ周辺のメンテナンスを行います。
各部の組み付け後に、テスターによる各種キャリブレーション・クラッチ交換のコマンド送信などを行います。
キャリブレーション作業は消費電力が多いので、バッテリ充電を行いながら電圧不足を起こさぬ様に充電器を接続・充電を行いながら施工します。
気持ちよく動いて復活する事に期待します。
Written by Hashimoto