「なっ!なんじゃこれ!?」


プジョー106は3~4年ほどの休息を経て、路上復帰の為に整備の開始しました。
お客様のご自宅で保管されていた車両です。
ご相談を頂いたのは2024年 昨年の春ごろでした。
お引き取りに伺えたのが 2024年の11月。そして着手は 2025年の1月。
大変長い間、お待たせした作業です。
この手の作業は、しっかりと環境を整えてから望みたいと思う為に、すんなりとスタート出来ない事が多いです。

保管中の前半はエンジンを定期的に始動する事ができた様です。
その後、燃料ポンプの不具合なのか、始動する事が出来なくなってしまった。。との事ですので先ずはその部分からスタート。
長期放置の場合に問題視しないといけないのは、タンクに残った燃料の変質です。
この業界ではよく「ガソリンが腐る」という表現をしますが、先ず異臭を放ちます。
新しいハイオクガソリンは揮発系の香りですが、傷んだガソリンは揮発成分が飛び、それ以外の成分が旧くなりなんとも言えない香りを放ちます。
この香り、工業高校自動車科の実習室にも似た匂いであり、旧いバイクが沢山並ぶ庫内でも同様の香りが漂います。
個人的には懐かしい香りですが、嗅ぎ続けると胸焼けします。
揮発分がなくなるので、とても燃えずらくなります。

さらには、揮発分が不足するとサラサラでは無く最終的にはドロドロに変質。それが進むと固形状になります。
昔、海外の粗悪ガソリンが長年入った状態の車のエンジンを始動し、数日後にインテークバルブが固着し固まってしまい大変だった経緯があります。

その位に燃料の品質は大切であるという事です。

エンジン不始動の原因は、推測通りに燃料ポンプが動いていない事でした。
保管期間中に壊れてしまったのですね。
ポンプを交換しなければエンジンは始動できない。しかしながら傷んだ燃料を排出しなければならないので先ずはポンプを外します。
外したポンプを見て「なんじゃコレ!?」の状態に驚きました。

ポンプに纏わりつく大量の錆と汚れに思わず目を疑います。
鉄タンクの車ならまだしも、106のタンクは樹脂なのになぜ?

タンク内に残る傷んだガソリンを吸い出し、タンク底に残る異物を拾えるだけ拾い上げます。


この飴色の遺物も何なのかが分かりません。

ポンプの交換でエンジンを始動できる様に復帰させ、後にタンクを取り外して内部洗浄を行う運びとなりました。


ポンプがどんな状況になっているのかが気になったので、作業後にポンプを分解する事にしました。
内部は大変な事になっていました。
どのタイミングでこうなったのか、原因の特定は難しいですがタンク内に水分が溜まりポンプの金属部が錆始めたのでしょうか。

車は動いてなんぼ。定期的に動かすように心がけたいですね。
Written by Hashimoto

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