リバース&1速にうまく入らずギヤ鳴りが発生
フィアット500デュアロジック・トラブル修理
車検整備でのお預りをさせて頂いている、フィアット500 ツインエアーは当初予定していた作業が完結し、最終検査を行なう段階になった頃にトラブルが発生し始めました。
リバースギヤに入れようと、シフトレバーを操作すると「ギャーー」と悲鳴をあげます。
1速に入れると、スムーズに入る時もあれば、リバース同様に悲鳴を上げることもあり。
「これはマズイ」そんな状況に陥りました。
しかも、状況は悪化を続け、発生頻度は増えていく一方です。
症状から察するに、アクチュエータの不具合では無さそう。
テスタでの数値確認では、クラッチストロークは十分あり。
実測値で気になるのは、クラッチ操作時のアクチュエータ電流値です。かなり高めの数値を示すことがあるのでおそらく、クラッチ内部消耗が予想できます。
走行距離は8万キロ台なので、そんなに減ってるか?という思いも過ぎりますが、お客様と打ち合わせを行い、作業を進める方向で決定します。
ミッションを降ろして、真っ先に確認するのは クラッチカバー ダイヤフラムのコンディション。
角度が立ち、スプリング先端の消耗が進行しているのが確認出来ます。
「思った以上に減ってる」そんな印象です。
ディスクを取り出すと、確かに減っている。ペラペラです。
約2.3.mmの消耗を確認しました。
「取り外したクラッチを単体でテストを行ないます。」
1.セットした状態。まだ力はかけていません。
2.少し押し込みを始めたところ
動き出しの初期段階から、151キロ!これは重たいです。
3.さらに押し込み進めて行くと
ある一定の重たさを過ぎると、途端に104キロへと変化。
4.最終地点まで押し込むと、200キロ近い数値を叩き出しました。
いずれにせよ、ダメな結果ですね。
新しいクラッチのテストは、数値の安定感がとても良い。
スタートから、最後までリニアに数値が増え、重い点・軽い点が存在しておらずとても安心できる結果です。
カバーの下側に、ディスクを置いただけの状態を新旧で比較。
クラッチカバーのセット面の高さが大きく異なる事が分かります。
レリーズフォークの摺動部の摩耗も大きく進んでいました。
リフレッシュパーツセットを組み替えます。
随分と前に組付けた、グリスニップルが良い仕事をしてくれていた様子です。
レリーズレバーの摺動面は、必ず減るもの。そんなイメージですが全く減っていませんでした。
やはりこの部分、潤滑不足が起きているのは間違いないですね。
折り返して、組付け復旧を進めて行きます。
正常・快適に操作できる事に期待します。
Written by Hashimoto