エンジン破損の一歩手前の危機的状況


アルファロメオジュリエッタ 1750 QV において、走行中にエンジンからの異音を発し、その後走行は出来るものの水温の上昇を伴った。
という事が今回の修理ご依頼の内容でした。

症状発生から、お客様のご自宅までが近かった為に不安を感じながも帰宅する事が出来たそうですが、エンジンを停止した瞬間に冷却水が溢れだした事も伺っています。

水温の上昇・異音・エンジンチェックランプの点灯と、聴覚・視覚に訴える症状が複数入り乱れていました。

先ずは診断機でエラー内容を読みだすと、カムシャフト位置についてのエラーが入力されている事を確認。
そして異音と水温の関係性に、ウォータポンプの不具合を連想し、ベルトカバーを開けてみると危機一髪の状況が拡がります。

タイミングベルトがプーリの端までズレてしまい、クランクを少し回すとプーリー間には猛烈なたわみが発生します。

タイミングベルトは、常時適正な張りを保てていなければならずその機能が損なわれると、クランク角度とカム角度の不一致が生じます。
その結果としてバルブがピストンに干渉し、メカニカルダメージを受ける事となります。

今回のトラブルの原因となったのが、ウォータポンプ本体の不具合によるもの。
軸部にガタが生じ、それによりベルトの掛かり方に異常が生じ、張りを保つことが出来なくなったという事。

画像を残せていませんが、外したポンプはインペラ(ブロック内に水を循環させる為のプロペラ)が脱落していました。
水を回せなくなったから、水温が上昇したのですね。

今回の症例の異音は、ポンプの異常発生
水温上昇は、ポンプインペラの脱落
チェックランプは、カム位置がズレ
全ての症状の原因は、ウォータポンプの不具合であった事として答えが明確になりました。

各部の組み換えを進め、タイミングベルト交換の最終段階です。
ジュリエッタの1750はベルトテンショナの張り方が難しく、最適な手法に悩まされます。
先日、同業者さんと話をする中で聞いた方法を試すと、なんともグッジョブ!良い方法を教えて頂けました。

今回は、走行距離を考えオルタネータの交換も行います。
ジュリエッタのオルタネータは、スチールブロックとアルミブロックで取付方法が異なります。
どちらの場合であってもタイミングベルト周りを分解しているときが、交換のベストタイミングであります。
ブラシチェックを行うと、これまた良く減っていますね~!交換して良かった!そう思える瞬間です。


スリップリングは耐摩耗性に優れているのか、激しい消耗は起きていませんでした。

今回のトラブルも、8月前半の猛暑期の際に起きた内容です。
今年の夏は過酷な日々が続いています。疲労の溜まった車のケアをお忘れなく。
Written by Hashimoto

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