エンジンオイル漏れの修理と空燃比の適正化
アルファロメオGTV 3.2Lは12カ月点検でのお預かりをさせて頂いています。
定期メンテナンスを怠らず、良い状態を維持しているGTVでありますがそれでも細かなマイナートラブルは起きうるもの。
深刻化する前に、課題が積み重なる前に小さなトラブルを早目に芽を摘む事は、この手の車を永く乗るにはとても大切な事です。
微量ではありますが、エンジンオイル漏れが起きていました。
V6フロントバンクのカムカバーから漏れたオイルは、バンク角度が付いている為にエキマニに滴り焦げ臭さを放ちます。
カムカバーを捲り、平面部の清掃~脱脂を行います。
カバー内部の窪みに溜まったオイルは、作業中に下に垂れてくるので先に吸い取るなど、基本的な事を済ませます。
取り外したカムカバーも、洗浄を行い綺麗な状態に仕上げています。
この時代のアルミパーツは美しいです。特にイタリア車に用いられるアルミ・キャスト 製品は独特な美しさがある様に思えます。
きめ細かさ・目の均一さ・素材の放つ色・リブの入れ方など、美しい工業製品です。
カムカバーからのオイル漏れは、インマニ付近にも流れますから、溜まったオイルと汚れの処理も忘れずに。
この流れで、12カ月点検も並行して進めています。
エアエレメントの点検・クラッチフルードの入れ替えを行う為に、エアインテークダクトを取り外しました。
この時、注意を払いながら取り外す必要があります。
ラバーが硬化しているので、スロトッルへの接合部は必要に応じてヒートガンで熱を掛けて取り外します。
取り外したダクトホース、ジャバラ部分は口を開き易いウィークポイント。
毎年点検していますが、今年はついに劣化により裂けていました。
吸入空気量の計測を、このダクトを通過する以前に行っている為、ここからのエアー混入は2次エアーの吸い込みとなる為に、空燃比乱れが発生します。
エアーマスセンサーは、エアクリーナボックスの真上に取り付けられています。
この上に先ほどのダクトホースが取り付けられ、その後にスロットルへと導かれます。
新品部品は手に入らないので、ひとまずは応急処置を施します。
自己融着性を持つシリコンのテープでジャバラ全周を覆い尽くし、エアー吸引をしないように処置。
部品交換がベストですが、この方法は堅実で、過去に数台は同じように対処しています。
コイルなどを組戻す際には、各配線を覆っていたコルゲートの補修も行いました。
こういう細かな地味な作業は、メインの作業では無いとは言え時間は意外と掛かるものです。
乱れた状態が嫌いな性格と、細かな作業も好きな性格なので向いているのでしょうね。この手の作業が。
エアダクトのエアー混入はいつ頃から起きていたのか分かりませんが、補修後はエンジンの性能がかなり良くなったように感じます。
3.2Lエンジンは、ただでさえ豪快な性格が特徴ですが、その豪快さとピックアップの良さが戻ってきました。
とてもトルクフルで官能的。アクセルを踏み込んだ瞬間から、蹴り出されたような加速をするじゃじゃ馬的な性格は、自然吸気エンジンならではの良さです。
時代が進むにつれて、丁寧に設計されたエンジンの魅力が光ります!
Written by Hashimoto