アバルト・軽量フライホイール クラッチが切れない
という事例をたまに伺います。確認事項のまとめ


順調に作業を進めている695エディツィオーネ・マセラティのクラッチ&フライホイール交換作業です。

今回は、作業内容紹介と合わせて不具合発生時の確認事項をお知らせします。

弊社のオリジナル製品である「軽量フライホイール&クラッチキット」は、これまでに多くのお客様に組み付けをお任せ頂いてきました。
同時に多くのお店からの受注・出荷もさせて頂いています。
稀に「組み付け後にクラッチが切れないのだが」というお声を頂きます。
以下に注意点と私が行う確認内容をまとめました。

◆クラッチ単体での作動確認を行う。
これは、軽量フライホイールに変更する・しないにかかわらず、いつも行っています。
過去に、普通にクラッチの交換を行っただけなのに、クラッチが切れなくなる車が存在しました。
記憶の中ではプントのHGTだったと思います。その際の理由はカバーの新品不具合でした。
そういう事も中にはありますので、いつも確認を行っています。

◆クラッチディスクを組み付ける際の、裏表の確認を行います。
デュアルマスフライホイールが採用されてからのクラッチディスクは、それ以前のディスクに比べて裏表の判別がつき辛くなっています。
それは部品メーカーも認識しているので、言語は様々ですが「ミッション側」の記載が必ず記入されています。
アバルトの場合「LATO CAMBIO」と記載されています。
LATO CAMBIO の記載が、組み付け後にミッション側を向く様に組み付けます。
LATO=側 CAMBIO=トランスミッション/交換・両替などを意味します

パッと見では表裏は同じですが、実際に反転して組み付けるとクラッチは切れません。

◆カバースクリュを交換する
フライホイールを交換する場合、スクリュが添付されている場合は必ずそのスクリュをご利用ください。
純正のスクリュは長さが微妙に異なります。
軽量フライホイールのねじ穴深さと、純正フライホイールのねじ穴深さが異なります。
その為、スクリュを再使用するとカバーの密着度が異なる為に正常な組み付けができなくなります。

◆各部の締め付けを確実に行う
軽量フライホイールの有無に問わず、大切な事です。
最近はフライホイールボルトに塑性ボルトが用いられている事が多いため、メーカー指定のトルク&角度管理が必要になります。

◆クラッチコントロールの状態は万全であること
マニュアル車の油圧レリーズとMTAの自動レリーズ。
これらの作動に間違いが無い事も重要です。
マニュアル車の油圧レリーズは、交換後のエア抜きは時間が掛かります。
足踏みではおそらく多大な労力が必要になりますので、電気式もしくはエアー式の圧送装置を使用します。
MTAの場合は、テスタでのキャリブレーションが重要です。
クラッチ交換のコマンド・エア抜きの施工・クラッチ接続のキャリブレーションが必要です。
これを行わなければ、クラッチが切れないもしくは切れても接続異常が発生します。


各部の確認の行いながら、695エディツィオーネマセラティの作業が進んでいます。
トランスミッションの搭載までを終えました。
引き続き作業を進めます。
Written by Hashimoto

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