シム・バトルのスタート
ルーテシア3RS TMリペアとLSD組み付け
3rd.&4th.ギヤのシンクロ不良が酷く、一連の修理と合わせてLSDの組み付けも行う。
今回のサービスメニューの醍醐味とも言えるのが、ルノー製トランスミッション特有の繊細な微調整を強いられるワンシーン。
トランスミッションのメカニズムは、開けてみるまでは解明できず、細部までを知る事でザックリと造られているのかそうで無いのかが見えてきます。
ルノーは、昔からミッション内部の微調整が必要でして、それらを整える為にはいくつもシムが必要となります。
冒頭画像はディファレンシャルギヤのプリロードを調整する為に必要となるシムです。
各ギヤのプリロードを調整する為には、該当ギヤシャフトをそれぞれ単体でケース内に組み込んでプリロードの具合を点検・調整します。単体での寸法測定を(42.95mm)といった単位で計測が出来れば仮組調整は不要なのですが、なかなかそこまでの測定は難しく、私は仮組調整方を頼りにしています。
これらの作業は、正直「手間の掛かる」内容です。組み付けて、測定・ダメなら分解・シム選定・組み付け・調整を繰り返します。
なかでも大変なのはセカンダリシャフトの調整でしょうか。ベアリングレースはミッションケースの末端に位置し、その奥にシムがセットされる為にエラーの場合はミッションケースを暖めて勘合を緩め、レースを抜き取り、シム厚を変更する。これらを繰り返すことになります。
3/4&5/6のシンクロハブ。使われているハブ本体は全く同じ物。
中に組み付けられるシンクロリングの素材が異なります。
今回は、耐久性重視を願い、素材を変更し組み付けを行います。
こちらはセカンダリシャフト。その最下段に1/2速のシンクロが存在します。
この部位のシンクロリングを交換する為には、6・5.4.3.2.1のギヤを抜き取ります。簡単に嵌っているだけでなく、油圧プレスの力が無ければ取り外しが不可能です。ここが厄介な点です。
その間にもシムが存在しています。
セカンダリシャフトのプリロード調整の為、純正シムが間に合わず急遽指定寸法のシムを製作する運びとなりました。
クワイフ製のLSDを組み込んでいます。
仕上がりが楽しみです。
Written by Hashimoto