1.6THPのタービンについての考察


モデルは違えど、同型エンジン搭載車両の多い 1.6THP は、ご存じの通りフランス車のみならずドイツ車にも搭載されているユニットです。
当社においてはプジョー・シトロエンのあらゆるモデルで使用されています。

今回は、整備の流れでタービン周りを分解する事となり、各部の消耗具合や今後の注意点について確認する事ができました。
先ず、分解途中で気になった事は、画像の中央部付近に位置する エキゾーストマニホールド のロックナットの状態です。

拡大してみると。
エキマニフランジとロックナットに一体のカラー間に隙間が生じている事が分かります。

これはナットの緩みにより生じた隙間です。
隙間が出来るという事は、ほぼ締まっていないという事。

こちらの画像にあるナットは、フランジ間の隙間がありません。
しっかりと締まっている事を意味します。

排気漏れや、2次空気混入が懸念される内容です。
エキマニ内に2次空気が混入すると、O2センサ(ラムダセンサ)が酸素濃度が高いと判断する事が考えられます。

取り外したマニホールドです。
とても分かり辛いですが、中央部の2分割構造の下側、左端にはごく僅かなクラックを確認しました。

エキマニに生じるクラックについては、現状大きな問題を発生していた様子はありませんが、鋳物ですので進行すると断片がタービンに混入し、タービンブローを招きかねません。

そしてタービン構成部品のひとつ。ウェストゲートバルブです。

ターボに関する構成部品の中では、曖昧な造りの部分です。
インペラやベアリングについては高度な技術で織りなされるのですが、ここはいかにも機械的な大味にも感じる箇所。

他との比較をしていないので何とも評価し辛いですが、結構なレベルでガタガタとしています。

置かれる環境はとても劣悪ですので、距離に応じて適切な処置が必要な気がします。


最後にここがタービン中心核部。
ブレードはとてもデリケートな素材ですが、痛みは無くベアリング状態も健全でした。

えゆ
水漏れやオイル漏れが多い事で有名な1.6THP。
ベストな状態を維持する為には様々な整備が必要であるのは間違いありません。
距離と経年劣化・予防整備を含めてご案内させて頂く内容は尽きません。
Written by Hashimoto

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