ルーテシア3RS クラッチトラブル発生
クラッチトラブルが発生したのは、ルーテシア3RSです。
連休前よりお預かりをさせて頂いていたお車の、原因追及~対処を開始しました。
症状はクラッチが操作不能と言うほどのレベルには達しておらず、正常な時もあればクラッチの切れが悪い事もある。という継続的不具合ではありませんでした。
判断に悩みながら、先ずはマスターシリンダの交換を行うものの、症状改善には至らずという所からスタートしました。
今回の様に出たり出なかったりという症状は、絞り込みが特に難しく悩まされます。
回答として行き着く先はレリーズシリンダの不具合?と繋がってきます。
レリーズの場合、もっと継続的に症状が出てもおかしくないのですよね。
悩んでいても仕方なく、トランスミッションを取り外し、内部の確認を行ったのが冒頭画像のレリーズシリンダの崩壊でした。
ミッションケース・クラッチハウジング内部に組み込まれたレリーズシリンダは、ベアリング一体式の構造でして、そのベアリング部分が外れていました。
とは言っても、組付け状態では崩壊という程までは構造上至らず、崩壊寸前という状況で作動する事となります。
なのでこの状況が症状の全てでは無いと考えます。
付近を確認していると、気になる傷跡を発見します。
アルミケースに対して、何かが引っ掻いた様に見える傷跡です。
これはレリーズシリンダ以外のトラブルが発生しているに違いない。そんな空気が漂っています。
傷跡を見なければレリーズシリンダのみを交換していたのでしょう。。
念の為にクラッチカバーを外してみると。
あれまっ!「クラッチダンパースプリングの破損」が起きていました。
このスプリング、本来はクラッチディスクに組み込まれている部品です。
アルミケースに傷を付けたのは、細かく砕かれたスプリングの断片。
クラッチの切れ具合が、不安定な原因はカバーの中に断片が入り込んでいたという事。
それによりクラッチ操作に対して、実際の作動がおかしくなる。
全ての理由がハッキリとしました。
今回のトラブル原因の事の発端は、モータースポーツシーンにおける「シフトミス→オーバーレブ」にあります。
これは、トラブルの探求中にお客様よりお知らせ頂きました。
瞬間的に高回転、そして急激な力の入力により関連箇所が堪えきれずに根を上げた。
原因が特定できて良かったです。
少し前にLSDを組付け、その際にクラッチ関連は交換済であったという事がトラブル探求に時間を要した原因のひとつです。
なので、クランクシャフトのシールも念の為に交換しておきましょう。
現状オイル漏れているという事は無いのですが、瞬間的な高回転力が及んだ事は間違い無いですし、後からジワジワとダメージによる漏れが始まっても辛いですからね。
先日組み付けを行った軽量フライホイールへのダメージが大きく及んでいなかったのは、不幸中の幸いです。若干のリングギヤ欠けはありましたが、トラブルに繋がる程では無さそうなので再使用します。
クラッチキットは、無条件で交換ですね。短命に任務を終えたクラッチ機構ですが、こんな事もあります。
Written by Hashimoto