ATS LSDをアバルトにインストール
武闘派アバルトは戦闘力UP


今回の作業の大目玉。LSDの組み付けです。メーカー在庫が有ったり・無かったりという要素を施工タイミングに考慮する必要がある部品です。欲しい時にいつでも有るわけでは無いという事を念頭に置いて、余裕を持ったプランを考える事が大切です。

機械式LSDのメリットとして、効き具合の調整が出来るためユーザーの用途に合わせてのセッティングが可能という事。FF車に組むLSDですので、極端に強い効き具合をチョイスすると普段使いでは超どS仕様となります。従って、私個人的にはマイルドな効き具合として組み付ける事をご案内しています。ほとんどのユーザーさんが通勤にも使いながら、年に数回のモータースポーツユースですので、どこに焦点を当てるかが肝心です。
今回は ATS のラインナップの中にある「メタル・サイレント」をチョイスしました。ATSの場合、カーボンプレートという選択肢もありますが、メンテナンス頻度の事を考えるとメタルプレートの方が良い気がしまして、そういった選択となっています。

お気に入りの「エンジンスタンド改・ミッションスタンド」に固定するところから始めます。これは本当に重宝していまして、今となっては無いのは考えられません。

ミッションケースを開けた中身はなかなか酷使された感じになっていました。黒ずんだ汚れが沢山付着しています。ミッション内部における黒ずみは金属粉ですので、今後はもう少しマメなオイル交換をお勧めします。今回は、全ての部品を洗浄・点検してから組付けますのでピカピカな状態に戻します。

ケース内部には、鉄粉を吸着させるためにマグネットが装備されています。とは言っても全てを吸着することは不可能です。

小窓の隙間からは、LSDプレートが確認出来ます。プレートは、内歯・外歯 という基本形状の違いと、プレートの厚み、板バネなどなどの要素を換える事でセッティングを変更します。

こちらはカムです。この三角形の角度も重要な要素。アクセルを開けた時・抜いた時、それぞれに作用するカムです。ATSでは1WAY設定はありません。

デフベアリングのプリロード調整です。シムに悩まされる作業ですね。今回は、欲しいシム厚が国内に在庫が無く途方に暮れました。当社のストックシムの他車種用がなんとアバルトに流用可能と分かり、その中に欲しい厚みを発見!良いプリロードが得られて一安心です。


ベタベタ・ドロドロだったギヤパーツは美しく仕上がりました。シンクロの消耗は無く、安心して使えそうです。
最近のシンクロリングって耐久性がとても上がったと思います。

刺激的なアバルトに仕上がりそうです。
Written by Hashimoto

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