ルーテシア3RS サスペンションテストの結果
CLIO3&LUTECIA3RS 足廻りの変更
ルーテシア3RSのサスペンション組替え~4輪アライメント作業を終え、SDLによるサスペンションテストを行いました。作業前の状態がとても良く無かった事もありますが、ビフォア・アフターのグラフの違いは歴然です。
サスペンション交換前の、路面粘着率を表すサスペンション特性です。
正常なノーマルサスペンションのグラフをご覧になられた方なら、この垂れ下がり具合には違和感を感じるはずです。クリオ3RSのサスペンションはここまで沈み込みません。
ここまでのグラフの垂れ下がりの原因の多くは、元々組付けられていたローダウンスプリングに集中していると言っても過言ではありません。ストローク域がうまく合わず、結果的にショックアブソーバの美味しい所を活かせていなかったのでしょう。もうひとつはストラットアッパーマウントの劣化です。アッパーマウントがサスペンションの動きを制御できておらず、余分な動きをしてしまう事で、接地感の無い状態に陥ります。
オリジナルサスペンションに組替えた後の、サスペンションテスト結果です。
作業前とは比べものにならないグラフが出力されました。フロントに関しては、高い周波数の揺れに対して非常に高い粘着率を維持しています。これはハイスピード域での路面追従性が非常に高い事を意味します。安定感と安心感を得る事の出来る粘着率となりました。
ストラットマウントは固定式のスフェリカルベアリング式となる為、ハードなサスペンションの動きをロス無く吸収し、アシの動きに無駄を作らない事も高い粘着率を成し得る結果と言えます。リヤ側は、硬いながらもダンパーがストロークし、不快な周波数帯の入力を軽減している理想的なグラフを描いています。
ハードなサスペンションで大切なのは、セッティングの硬さから感じる乗り味の印象です。硬くて跳ねていては、路面への追従性は極端に悪くなりますが、硬くても跳ねないセッティングであれば今回のグラフの様な仕上がりとなります。
実際に乗ってみると、どうなのか。もっとも大切な事です。
ファーストインプレションとしては、荒れた路面・凸凹が続く路面では硬いという印象を受けます。ただ、許せる硬さなのか、これは無いわ・・・、という硬さなのかと言うと、大いに許せる硬さです。今回のバネレートでこの硬さならば、ストリート仕様にセッティングを変更した場合は、万人受けする乗り味になると予想できます。
旋回性能は非常に高く、吸い付くコーナリングがウリのクリオ3の良い所を数倍上乗せした印象です。前後バランスに優れ、ドライバーの重心を中心にハイスピードコーナリングを楽しめる。そんな印象です。
オーナーさんは、サーキット走行も終え、アンダーステアを感じず気持ち良く走ることが出来た!とのコメントを頂きました。
リヤのスプリングレートを少し下げて、乗り心地を重視したセッティングも試す予定でしたが、旋回性能を下げたくないのでレートは変更せずにスプリングの特性を変更する結論となりました。
サスペンションの世界はとても奥が深いです。一発で全てがOK.という事は皆無ですので、いろいろと探求が必要です。
リヤスプリングの味付け変更で、更に良い結果が出ることに期待します。
Written by Hashimoto