プジョー308GTi続いては バルブタイミングの点検
各部の整備を進めている308GTiは、水回りの作業に続いてはバルブタイミング系統のメンテナンスを行います。タイミングチェーン式を採用するテンロクターボですので、ベルト式程のメンテナンスを必要としない機構でありますが、ベルト式よりもチェーンの伸びによる影響が出やすいのは事実です。イタリア・フランス車のタイミングベルト交換サイクルは5万キロが目安です。対するチェーン式は10万キロほどを目安に考える事が多いです。チェーンの伸びによる、バルブタイミングの狂いは避けられませんので、できれば5万キロに1回のサイクルで今回の様なメンテナンスを心がけると良いと思います。
オイル管理が悪ければチェーンは伸び、油圧式のチェーンテンショナの状態が悪くなるのは、これまでの経歴で確認済みです。
今回の308、カムカバーを開けるととても美しいカムシャフト周囲の状態でした。走行距離は8万キロ半ばです。エンジン内部の綺麗さ=オーナーの愛情と表現できます。
ここまで美しいエンジン内部ですが、バルブタイミングの狂いは発生していました。
黒色のツールは、バルブタイミング確認用のSSTです。2本のカムシャフトの位置が正しければ、2つのツールの位置関係がぴったりと合致します。ところが中央部のツール間には隙間が生じています。この隙間がカムシャフトのズレを意味し、つまりチェーンの伸びがその理由です。
一連の点検作業の中に、チェーンの伸びの許容範囲を確認するのですが、今回の308は距離の割に伸びが少なかったです。ハイパワーエンジンですので少し心配していたのですが、最近確認した同型エンジンの中では最も良い状態でした。ですので、タイミングの調整とチェーンテンショナの交換のみで良い状態になそうです。
こういう状況を確認できると、エンジン性能がしっかりと戻って来る事を確信できます。仕上がりが楽しみです。
Written by Hashimoto